二世帯住宅の家づくりってどんな間取りの家?

そろそろマイホーム計画を立てようかと考えた時、気になるのは住宅資金の事や土地探し、間取り、ハウスメーカー選びと様々でしょうが、「両親の老後の生活」や「古くなってきた実家をどうしよう」と気付かれる方もいらっしゃるのでは? また、以前からいずれは両親との同居を予定している方もいらっしゃるはず。

そんな時に二世帯住宅という解決方法をお耳にした事があるかもしれません。

では、二世帯住宅の家づくりってどうするの?

と尋ねられるとイメージは様々でしょう。

「玄関が二つある家?」

「キッチンも別れている家?」

「ミニキッチンが有るって聞いた事がある」

何をどうすれば二世帯住宅になるのか、どうすれば暮らし易い二世帯住宅になるのか、ちょっと迷ってしまうかもしれません。

実は一口に二世帯住宅といってもその選択肢は幅が広いのです。

今回は二世帯住宅の家づくりについて整理してみましょう。

二世帯住宅に定義があるとすれば親世帯と子世帯の二世帯が一つ屋根の下で同居しようという住宅の総称です。

そして、その一つ屋根の下での暮らし方は画一なものではなくいくつかの間取り構成パターンに分類でき、その選択にあたりどの様な家づくりをすれば両家のご家族皆さんが暮らし易い住まいが実現できるかという点が重要です。

親子両世帯ご家族皆さんの過ごし易い環境調和を「家」という器で図る工夫が二世帯住宅のツボであるとも言えましょう

具体的な暮らし方から見た間取り構成を分類して解説していきます。


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⬜︎  同居型        

二世帯住宅というと玄関二つ、キッチンもお風呂も二つといった間取りを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。勿論これも一つの型であり、両世帯が互いにそれぞれのペースで気兼ねなく暮らせるという利点があります(この後の分離型で詳しくお話しします)、しかし、新築時点で既にご両親が高齢であった場合はいかがでしょうか。生活空間を全て二つに分けても食事の準備もお風呂の掃除も面倒見てあげなくちゃ、となってきますと2軒分用意した多くの設備が無駄になり、むしろ手間だけが余計にかかってしまい反って負担が大きくなってしまいます。

そうした場合は無理に分離色を強めるのではなく、食事や入浴、くつろぎ等を共にし、共有スペースをベースにしながらも「付かず離れず」の阿吽の呼吸の間取りを検討してみたいものです。例えば下の図1をご覧ください。

新築二世帯住宅の間取り図

(図1)

せっかく新築を機に一つ屋根の下でご家族皆様が暮らす訳ですから、家族皆んなが集まってテレビを見たり、食事をしたり、お話ししたり出来る場所を充実したいとご希望があるかもしれません。それに対応するお部屋はリビングやダイニングであり、まずはこれを目的にかなう空間となる様にする事を考えたいところです。

でも、いくら仲の良い親子関係であったとしても時には個々の時間、個々の世帯の空間が欲しいと考える事って出てきそうですよね。この解決の術が先の「付かず離れず」であり、ご家庭内のパブリック(公)とプライベート(個)の調和を間取りで図るのが二世帯住宅のツボなのです。

図1ではリビング・ダイニング・キッチンをワンルームとしながらも各ゾーンを適度に分けてあります。これなら夜にお爺ちゃん、夜お婆ちゃんとお孫さんが仲良くリビングでテレビを見てくつろぎながら、ダイニングキッチンではお仕事帰りのご主人と奥様が今日の出来事を会話しながら遅めの夕食をとる等というシーンでもお互いに会話やテレビの音が干渉しにくくなります。

他にも親世帯、子世帯それぞれの来客応対やちょっと篭って一人で過ごしたい時の為に共通の予備室としての和室をちょっといい場所に用意しておく。

こんな工夫で「付かず離れず」の阿吽の呼吸がとれそうです。

また各プライベートルームについては親世帯の寝室は負荷のかからない1階が宜しいでしょうし、2階に関してこの型の場合は子世帯の寝室・子供室を中心とした通常の単世帯の2階と同様の考え方で間取りづくりをします。

建物の規模は二世帯住宅の中では一番コンパクトに収まるのもこの同居型です。

 

⬜︎ リビング分離型       

前述の同居型は親子両世帯が生活を共有し、建物のパブリックゾーンを共用していく考え方の間取り案でした。但し、新築を契機に新たに同居を始めようという場合に、両世帯がそれまで個々に暮らしてきた生活習慣やリズムの足並みが揃い切らない事もあるかもしれません。時にはその事でお互いに窮屈さを感じる場面だってありえるでしょう。

そんな時に無理に同じ歩調の暮らしを求めるのではなく、従来通り個々の生活環境を尊重、維持出来るように生活空間の分離を検討してみる事が解決のアイデアとして浮かんできます。

親子両世帯個々の生活空間を確保しながらも、「玄関」「風呂」「洗面室」「客間」等は経済的、労務的無駄を避ける為に共用しながらコミュニケーションを取って行く家づくりがリビング分離型の間取りです。

このタイプは日常的な「くつろぎ」は両世帯それぞれ個別のリビングで過ごす事を基本としますが、食事・調理の在り方で更に細分化できます。

 

①セカンドリビング分離型

子世帯の生活空間としてセカンドリビングを設け「くつろぎの時間」は両世帯個々に過ごせる準備をしますが、玄関利用・入浴・食事は同居型同様共にします。「同居型」の派生型に当たり、コミュニケーションを積極的に取りながらも生活独立性も同時に保とうというライフスタイルを目指す方法です。

1階間取りは図1同様同居型、2階に子世帯の寝室・子供室に加えセカンドリビングを設けた間取りが考えられます。

 

②ミニキッチン分離型

子世帯はセカンドリビングでのくつろぎを基本としながらも、例えばティータイムにお茶を入れたり簡単な調理をしたり、お仕事帰りが遅いご主人がセカンドリビングで夕食をとろうという際に料理の温めなおし等、①の生活スタイルを基本とながらもセカンドリビングに付属で調理機器を備えた方が便利な場面も考えられます。

基本的には両世帯一緒の食事を前提としてますので、あくまでもサブとしてのキッチン設備、いわゆるミニキッチンを①に加えた様な形態となり、下の図2の様なイメージの間取り案が一例として考えられます。

新築二世帯住宅 セカンドリビングの間取り図

(図2)

 

③キッチン分離型

例えば親世帯もまだ若く現役バリバリで活躍中ともなると、両世帯の生活サイクルが必ずしも一致しない様な生活環境のお宅もあるでしょう。

その場合、くつろぎだけでなく食事まで含めた日々の基本的生活を個々のペースで暮らした方が、相互に負荷が掛からず気楽に生活できるという考え方も浮かんできます。

①②の様な同居型の派生的性格の家づくりから更に飛躍し両世帯の独立色を明確にした型といえ、子世帯のセカンドリビングには常時調理・食事を満たせるダイニング・キッチンを備えて対応します。

この型まで到達しますと両世帯の生活独立色はかなり強まります。

但し玄関の利用や入浴等、相互の生活で不都合の度合いが少ないものは無駄を省く意味で共用し、また家屋内で家族一同に集まれる場所として同居型同様に親世帯のリビングダイニングを十分な広さで確保すれば、同居のメリットである両世帯のコミュニケーションも同時にバランスが取れます。

間取りのイメージとしては1階を図1とし、2階は図2のセカンドリビング部分を拡張するとこの案に添った形態となります。


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⬜︎ 玄関分離型        

二世帯同居は親子両世帯の距離が近づく事で目配りが容易になる両者の安心感、コミュニケーションの期待等メリットもある反面、それまで別々に暮らしていた両世帯の同居ゆえに上手くやっていけるだろうかという不安も混在します。それを家づくりのアイデアで解決する試みとして通常の同居型のものから段階的に分離要素を広げ、両世帯の実情に一致しそうな生活形態を模索する考え方を整理して参りました。

その検討の結果、相互の生活の独立性、自主性を最大限に重視していくと「近くには住みたいど生活はお互い別々な方が良い」という結論に落ち着くかもしれません。

その考え方に沿ったものが玄関分離型となります。

これは前述したキッチン分離型よりも生活独立色が更に強まり、基本的に家の機能一式全てが両世帯で別れ、一つ屋根の下に2軒の家が並存している形態の間取りまで到達します。

このタイプの生活様式は両世帯が完全に独立しますので、同居とはいいながらも基本的に生活はお互い独立して営みます。両世帯の自主性独立性は保たれながらも物理的距離は近いので、適度なコミュニケーションと個々の生活ペースでの暮らしの両立が期待出来るのがこの型の特徴という事になりましょう

間取りの構成は下の図3の様に「縦割り」「階層別」2つの設置方法が考えられます。

新築二世帯住宅ゾーニング

(図3)

「縦割り」はちょうどメゾネット住宅の様な考え方であり2軒の2階建住宅を一つ屋根の下に収めたイメージであり、「階層別」は親世帯を1階、子世帯を2階という様に階層で世帯を分離していきます。

どちらを選択するかは敷地の立地環境や将来的家族環境の変化も見据えながら決定していく事となります。

こちらもご覧下さい新築注文住宅の間取り図作成相談ならパートナーズライフプランニング

以上二世帯住宅のマイホーム計画について間取りから見た分類と検討のポイントを解説して参りました。

二世帯住宅家づくりのツボは単に「分離色が強いから充実した家」「同居色が強いから簡易的」という事では無く、親子両世帯が一つ屋根の下で仲良く、暮らし易くする目的に合ったスタイルの選択だという事がご理解いただけましたか。

また、選択をする上での両世帯間のコンセンサスを得ることも重要な点ですね、

 

今回は二世帯住宅の間取り面にスポットを当てましたが、実際の家づくりの場面では住宅資金計画においても住宅ローンや、自己資金の準備、名義をどうするか等について整理が必要です。これについてはまた別の機会に取り上げたいと思います。

パートナーズライフプランニングの「マイホーム購入サポート」コンサルティングは二世帯住宅をご検討の皆様に住宅資金設計から間取り図の立案、ハウスメーカー選びと親子両世帯のご意見をお聞きしながら住みやすい素敵な家づくりの実現をお手伝いいたします。

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この記事の監修<br>パートナーズライフプランニング<br>代表 栗山 琢磨

この記事の監修
パートナーズライフプランニング
代表 栗山 琢磨

仙台で生まれ育ち、大手ハウスメーカー・外資系生命保険会社勤務を通じて得た住宅・不動産・ライフプランの豊富な実務経験と専門資格のスキルをベースに2011年起業。

住宅コンサルタント・家計設計コンサルタントとして相談対応域は住宅ローン・土地探し・間取りづくり・ハウスメーカー選びといった住宅購入相談から学資や老後の資金準備・生命保険相談と皆様のライフプラン全域をカバー。

各テーマの仕組み・課題を解り易く解説。

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・1級ファイナンシャルプランニング技能士
・トータルライフコンサルタント(生命保険協会認定FP)
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この記事の監修<br>パートナーズライフプランニング<br>代表 栗山 琢磨

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代表 栗山 琢磨

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