マイホームの新築前に土地購入から始める場合、どんな土地を購入すべきか迷ってしまいますね。
広い土地、狭い土地、価格が高い土地、値ごろな土地と様々な情報の中で、価格はある程度予算との対比で検討がつきますが、土地の広さ狭さとなるとどうでしょう?
特に狭い土地は悩みどころ‥‥。
土地購入したものの、狭い土地のせいで間取りを含め有効活用出来ず、後で後悔するのはイヤ!
せっかく新築注文住宅のマイホームをおしゃれな家にしたいけど、そんな間取りはムリ?
おしゃれな家どころか家もすごく狭い間取りしか出来ないかも‥‥
購入前の狭い土地の様子からは新築完成後のおしゃれなマイホームの姿や、素敵な間取りをイメージし、有効活用度を見越すことは経験値の乏しい皆さんには容易ではないはずです。
わかっているのは、土地購入の為に取り寄せた物件資料に書かれている30坪の土地面積と寸法図のみ。
かといって迷っている間に、他の人に先に購入されてしまってはそこまでです。
でも狭い土地が原因で、希望とかけ離れた間取りしか建てられなければ元も子もない‥‥
悩んでしまいますね。
こんな時、どの様に整理すれば土地購入の間違いない判断が出来るのでしょうか?
今回はそんな土地購入の候補地が狭い土地だった時の、間取りや敷地の有効活用チェックについてのお話です。
目次
狭い土地を購入すべきかの判断は?
狭い土地を購入すべきかの判断をどうすべきか?
結論から申しましょう。こんな時の最善の対策はただひとつ!
目の前にある購入候補の「狭い土地」に合わせ新築する我が家の間取りをつくってみる事です。
そんな事当たり前だろ!
と言わずにお聞きください。
問題はその間取り図のクオリティです。
とかく不動産会社、ハウスメーカーとの間で土地購入一連のやりとりをしていると、
「悩んでいるより先に購入決定してその後にゆっくり間取りを考えた方が確実です」
と言った様に土地購入の意思決定を急かす業者もいますが、これはまず論外。
それに対し
「この土地に合わせた間取り図作成しました。更なる有効活用法は契約後につめていきましょう」
購入候補地に合わせた間取り案をハウスメーカーに示してもらえたとしたら‥‥。
その間取りが希望の部屋数、駐車スペースの確保、当然建築法規も含め狭い土地なりになんとか要件をクリアし有効活用の雰囲気を感じ取れる案ならば、それだけでホッと胸をなでおろすのではないでしょうか。
「取り敢えず狭い土地なりにも間取りは出来たぞ!」
気持ちが前向きになれば、後は他の購入希望者の動きが心配‥‥。
そうなればここから先は、間取りの議論よりも土地購入の手続きに集中するのは自然な流れといえるでしょう。
恐らくこのプロセスから後々後悔する様な気配は感じられませんよね。
でも・・・・
その間取り図をよく観察してみてください。
その間取りは本当に快適に暮らせる間取りになっていますか?
新築のマイホームで実現したかったおしゃれな家になっていますか?
間取りのクオリティの確認です。
と言うのも、今回の様に狭い土地でもちゃんと新築出来るか否かといった大命題に直面すると、自ずと着目ポイントは土地の狭さに建物が収まるか否かの一点に集中しがちです。
一方で、家づくりは土地が狭かろうが広かろうが、快適な暮らしに相応しい素敵な間取りや、こだわりをカタチにしたおしゃれなデザインのマイホーム実現に欠かせない検討テーマというものも存在します。
広さ狭さの一点集中で、果たして満足ゆく住まいが実現可能かと問えば怪しいものですね。
勿論、間取りに関し多少の見直しや、デザインをおしゃれにする為の内装や外観デザインの打ち合わせ機会はその後の家づくり過程のどこかで設けられ、そこで挽回すれば良いと考えるかもしれません。
しかしながら、土地の契約も終わり一連の手続きも進みきったそのタイミングで、細かな間取りの使い勝手やおしゃれに関するデザイン云々を議論し改善を図ると言う事は、原案に手を加えると言う事です。
よくよく細かに間取り案に目を通したら
・本当に日当たり大丈夫?
・車を置くと人が歩けないのでは?
・よくみると使いやすい間取りではない様な
・それにしてもこのままじゃ外観がおしゃれ感ゼロ
こんな事柄に気付けば当然、修正を図らねばなりません。
間取り変更です。
でも、間取りを変えようにも、なにせそもそも狭い土地。
「土地が狭すぎて、これ以上間取りを変えようが無い」
かと言って今更購入後の土地を気安く変えれるはずもありません。
結局「狭い土地だったのだからしょうがない‥‥」
これでは残念すぎますね。
そんな後悔を残さない為にはどうすれば良いか?
次は狭い土地の間取りづくりで押さえておくべきポイントについてみていきましょう。
狭い土地でもおしゃれな間取りにするポイント
冒頭にも例えた通り、仮に30坪の購入予定地が目の前にあったとしても、その土地状態を目視するだけで土地の有効活用策をイメージする事は難しいものです。
「この狭い土地に本当に家が建つのかな?」という疑問に、ただ眺めるだけでは答えは出てきません。
そこで土地に合わせた間取り図を作成しようと言う事ですが、単に敷地に入るかどうかを確認する為の暫定的な案では無く、暮らしやすい機能性や、おしゃれな意匠性も網羅した完成形の間取り案を作成し検証しなければ、手堅い土地購入の判断は下せないという事になります。
とは言いながらも、暮らしやすい機能性や、おしゃれな意匠性を備えた間取りか否かの見極めポイントとなると難しそうですね。
それならば、事前に具体的間取りの読み取りトレーニングの機会を設け、大切なツボの様なものを掴めればちょっとは心強いのではないでしょうか。
それでは何を読み取れば良いのか、レッスンしてみましょう。
・狭い土地の新築間取り実例でチェック!
ここから先は例を上げて解説した方が理解しやすいと思われますので、下の間取り図を参考にしながら話を進めたいと思います。
これは約33坪土地上に描いた1階部分の間取り例です。
2階に3室設ければ4LDKの新築住宅という事になりますね。
さてこの間取り図のどこに目を向ければ良いのでしょうか?
まずは暮らしの快適性の観点から機能面をチェックしましょう。
最初に確認したいのは「採光」環境です。
と言うのも日照の効果を設備器具で同等に補う事は絶対に出来ません。
お日様からの日差しは尊いものなのです。
ここで間取り図の読み取り方の確認ですが、図面下方向が南、上方向が北、右方向が東とします。
つまりこの図はいわゆる33坪の東道路の土地という事になりますね。
そして南隣地、西隣地にはびっしりとお隣の建物が建っている様です。
さてこの土地で日当たりを確保する間取りを考えるにはどうすれば良いでしょうか?
まずは一口に日当たりといっても建物全体にそれを求めるのは難題すぎます。
間取り上の優先順位をつけた方が合理的です。
一番日差しを求めたい部屋は‥‥
そう!リビングですね。
ではリビングに最適なポジションはどこでしょうか?
まず、東側は道路ですから日の出直後は別として午前中の日差しは比較的確保しやすそうです。
但し、奥まった配置になってしまえば話は別ですので注意は必要です。
また、南方向については前の建物の陰になる事を避けたいので、ここの離れ空間を十分確保したいところですが、何せ33坪と狭い土地の中でのやりくりです。
工夫を凝らさないと前の敷地にピッタリ張り付き、全く陽の当たらないリビングにもなりかねません。
ここでポイントになるのが玄関位置です。
直感的には東方向に道路があるので、それに合わせて間取りの東サイドに玄関を陣取りたくなるのですが、安易にこの方法を採用すると窮屈な敷地西側ゾーンにリビングが追いやられたり、南隣地に接近せざるをえなくなるはずです。
紙とペンを持って皆さんも書いてみて下さい。
ね!
そうなっちゃいませんか?
こんなところからボタンの掛け違いが起きてくるのです。
間取りづくりは感覚任せではうまくいきません。
理詰めの世界なのですよ。
その点例示した間取りは南空間も確保し、東方向の採光もふんだんに取り込めるレイアウトになっている状態が読み取れるはずです。
更には間取りの使い勝手も考えねばなりません。
特に注意を払いたいのが「動線」ですね。
狭い土地だからと、この観点を疎かにしてしまうと、せっかくの新築マイホームなのにとても暮らしにくさが気になり「失敗した‥‥」と後悔を残す原因にもなってしまいます。
さてこの間取り図ではどうでしょうか?
キッチンと水回りが近くにレイアウトされ家事動線はバッチリ!
また、玄関から室内への誘導も、来訪者にあまり覗かれたく無いお台所や洗面所などのゾーンを避けているので余計な気回しの負担がありません。
リビングゾーンも他の室内での移動動線から外れた位置なので、落ち着いてくつろげる環境です。
使いやすい間取りになっている様ですね。
次におしゃれです。
特に素敵に仕上げたいリビングは大きな窓を中心にデザインするとおしゃれな内装が楽しめそうです。
独立した和室も半畳タイプの琉球畳なんかがおしゃれですね。
・間取りの欠点を探し出せ!
さあ、素敵な間取りに見えてきましたか?
でも、まだここで終わりではありません。
この間取り、一つ問題があるのです。
どこだか分かりますか?
リビングと玄関までのアプローチの位置関係を注目して下さい。
カーポートスペースとアプローチがリビング前に位置しています。
カーポートスペース単体であればその幅は3メートル程度で十分なのですが、人の歩行を伴うアプローチ機能も併用させるとこのサイズでは車入庫時には歩行が窮屈です。
これも狭い土地に間取りを考える際よくみられる失敗要因ですので注意したいですね。
こちらの間取り図はそのサイズ約4メートル強ですので、こうした懸念は解消されていると同時に、先に触れた採光や視覚的ゆとりの確保にもこの空間が有効活用出来る工夫が施されています。
では一見すると何の問題も無く、寧ろ狭い土地の有効活用に成功している様にも感じるこの間取りの問題点とは何でしょうか?
答えは生活空間のプライバシーです。
前述のリビング、アプローチ、カーポートの位置関係はこの土地を有効活用する上では機能的なレイアウトなのですが、例えば来訪者が訪れた場合にはリビング前を通過し玄関に至ります。
また、リビングは道路に寄せたレイアウトに加え、大きな窓を予定しています。
こうなると何の工夫もないままにこの間取りで新築工事を終え、念願のマイホームでの生活を始めて気づくのは、
「何だか人の視線が気になる家だな」
ゆったりと寛ぎたいリビングなのに不意に来訪者が目の前に現れ、通行人の視線の気配を日々感じる。
何だか落ち着かないと言うのでは、土地を有効活用した素敵な間取りとは言えません。
それではどうするか?
建物部分の間取り以外も含めた敷地全体の計画で外部からの干渉を防ぐ手立てを考えます。
この間取り図では、アプローチ入口の門扉とリビング道路間の角柱がこれにあたります。
平面的な間取り図だけではイメージし難いので、外観図も併せて見てみましょう。
これであれば来訪者は敷地入口部分の門扉で一度ストップし、応対を受けてからリビング前を通過する事になりいきなりリビング前に出現という事は防げますね。
また、道路との間に設けた角柱はおしゃれなだけでは無く、直接的な視線の刺さりを緩和する働きをしてくれます。
如何ですか?
これで随分と狭い土地を購入すべきか否かの判断を的確に導く材料が揃ってきたのではありませんか?
・おしゃれな家の外観デザインで気を付けたい事
でもまだ終わりではありません。
せっかくの新築マイホームです。
土地の有効活用策の中には、おしゃれな自慢の我が家のアイデアも期待してみたいとは思いませんか。
せっかく外観図が登場したので、おしゃれな家にする為の外観デザインについて触れておきましょう。
ハウスメーカーとの打ち合わせでも狭い土地対策で話が終始し、おしゃれな家づくりに関する工夫が語られないというのは論外として、検討課題には上げたものの、新築完了後その外観の姿を目の当たりにすると、思っていた程おしゃれに見えないという残念な結果は珍しくありません。
この原因は何でしょうか?
「図面と実物の違いかな?」
半分当たりです。
正確には見えない視点で外観デザインのおしゃれについて議論している可能性です。
建物の外観というものは、通常東西南北の4面を中心に、斜め方向も加えるとその表情は同じ建物でもビューポイントによってそれぞれ異なります。
これらを立体的に確認する為、外観デザインの議論には立面図や外観パースといったものが用いられます。
問題は打ち合わせに用いるこれら図面のアングル設定です。
作成するハウスメーカー側としては少しでもおしゃれな家に見せたい立場ですね。
そうすると建物4面の内どのアングルが一番おしゃれに見えると思いますか?
答えは多くの場合、南面が一番おしゃれに見えるのです。
理由はここまでの話にヒントが隠されています。
通常間取りを考えていく過程で重視すべきは暮らしの快適性、その中でも採光計画が重要であり、陽の入りを考えると南面に大きな窓を確保した方が合理的です。
そこで外観デザインに話を戻すと、こうした大きな窓が並ぶ南面は意匠的には表情を整えやすいのに対して、他の3面は窓のサイズ、位置が不規則になりやすく、注意深く企画しないとおしゃれとは似ても似つかぬ姿になってしまう事は珍しくありません。
こうした背景からどんなローケーションであろうと構わずに南方向からのビューポイントで外観デザインの議論が交わされるシーンはよく見られがちです。
例えば今回示した間取り案でこの方法を踏襲したとしましょう。
仮に南面にビューポイントをとった外観デザインが物凄くおしゃれであったとしても、それを目の当たりにする事は可能でしょうか?
前の家に遮られて見えませんよね。
それに対して上に掲げた外観パースは道路方向、東面からのものです。
この方位は視覚的には正にフロントです。
ここの視点からのおしゃれを意識してデザインしなければ何も意味をなしません。
狭い土地だからこそ、機能性のみに気を奪われ工夫が疎かになったり、限られた視野を念頭に置かない立案には注意を払い、より愛着のあるおしゃれなマイホームを目指してみるべきではないでしょうか。
狭い土地購入にはこの間取りも要検討
ここまで土地購入の候補地が狭い土地であった場合の検討方法として、具体的な間取りやおしゃれなデザインの立案方法から土地の有効活用法をお話ししてきました。
今回ご紹介したのは、新築住宅で一番スタンダードといえる2階建ての1階部分にリビングを中心としたパブリックスペース、2階に各個室のプライベート空間といった配置を前提とした間取り構成の話です。
この様なベーシックな間取りでの暮らしが一般的には馴染みやすいと思われますが、更に土地が狭い場合や、他に重視する要素がある場合は、他の間取り構成も検討しておくべきでしょう。
一つは2階リビングです。
例えば下の間取りの様に一般的な間取りとは反対に1階がプライベート空間、2階にリビングを中心としたパブリック空間を並べるという方法です。
これなら狭い土地であっても暮らしの中心であるリビング空間が一層分上に来る為、隣地建物や外界からの視線は従来の1階リビングと比較しマイナス影響は受け難くなります。
但しその点ではプラスなのですが、階段の移動頻度が増える事は人により評価が別れるところであり、十分検討したいところです。
2階リビングについてはこちらの記事で取り上げています。
もう一つの方法が3階建住宅です。
例えば購入を検討している土地が2階リビングで対応するにも更に狭い土地で、とても2階建では収まりきれないとした場合、最後の検討手段が3階建の間取りです。
2階リビングに加え3階部分にもプライベート空間を加算した間取りが3階建ではよく見られますがこの限りでは無く、1階部分にガレージを盛り込んだ間取りパターンも含めると各層の構成要素は多彩です。
間取り検討手順の基本的要素は2階建と変わるものではないのですが、土地の狭さ度合いが増している場合、間取が制約を受ける分土地状態の読み取りと間取り案反映の重要さも増し、最適な各層へのお部屋の配置を考えていくべきでしょう。
もうひとつ3階建で考慮したいのが外観デザインです。
これも2階建同様に様々な案が試せるのですが、前項の2階建でもお話しした通り、いやそれ以上に土地の狭さ克服に心血が注がれ、他を考えるゆとりを失いがちです。
結果としておしゃれにまで気を回す余裕が無く、新築完成してみたら味気無い総3階建の事務所みたいな風情の仕上がりは面白みも何もなというのでは後々後悔しそうです。
この点も注意を払いたいですね。
例えばこんなデザインの新築3階建もおしゃれだと思いませんか?
加えて3階建はコストも割高になりがちです。
土地購入の手続きは進めたものの、実は予算オーバーの計画となってはいけません。
この点も購入手続き前に十分確認を怠らない様に努めたいものです。
狭い土地購入だからこそ間取りの検証は十分に!
今回は新築時の土地購入候補地が狭い土地であった場合、間取り検証の必要性と有効活用を図るポイントについて整理してまいりました。
マイホーム新築の決心をしたものの、決め手となる土地情報が中々見つからず焦りを感じている方は多いのではないでしょうか?
そうした中で、概ね希望要件を満たしているが、唯一土地面積だけがイメージしていたものよりも狭く、判断に迷ってしまうケースは家づくりに取り組んでいる多くの方が経験しているはずです。
希少な土地情報だからと焦って飛びつけば狭すぎて全然有効活用が図れない土地‥‥
土地の狭さが気になって購入を見送ったものの、後日前を通ったらおしゃれな家が建っていた‥
どちらも後々後悔を残してしまうかもしれません。
全てにおいて言えるのは、確実な判断を下せる情報整理が重要!
その大切な作業が、工夫を凝らした間取り案をその狭い土地にたててみること。
その結果「狭い土地」のレッテルが「素敵な土地」に変われば安心して土地購入に踏み出せますね。
トップページには家づくりの他にも情報がたくさん!
併せて是非ご覧ください。
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