新築一戸建ての間取りを考える上で「動線」の工夫は暮らし易いマイホームの重要なポイントのひとつ。
後悔の無い暮らし易い新築マイホーム実現には十分工夫を凝らしたいところ。
しかしながら相談先のハウスメーカーから間取りの提案を受ける際、設備や部屋の広さにばかり気を取られ、合理的「動線」の状態になっているか否かを見落としてしまう失敗はしばしば起こりがちです。
良い動線の間取りとは、室内での人の動作が如何に円滑にこなせるか、また無駄な動きが無いようにも工夫された家ということになるでしょう。
反対にここの工夫を怠り失敗してしまうと、何をするにつけても毎日室内を家族みんなが右往左往で落ち着かず、いちいち無駄な動きばかりで面倒臭い。
せっかくの新築マイホームでそんな暮らしでは残念ですし不満が募ってしまいます。
設備なら最悪買い替えも出来ますが、間取りの失敗は簡単に事後の改変など出来ませんから、企画時点で十分に練り上げないと先々後悔する事にもなりかねません。
やはり家族みんなが自然体で動ける間取りが理想ですね。
さて、家づくりの場面で使い勝手が良く暮らし易い住まいか否かを大きく左右するのが動線というテーマという事は、間取り図作成の依頼を受けたハウスメーカー側にも当然ここを意識したプランニングを期待したいところです。
でも、実際にはこうした工夫を全て業者任せにしてしまうと期待外れになってしまう事も
「とにかくライバル他社よりも安い価格で見積もり提示しなければ!」
「コストを落とした提案が契約獲得最短コース」
こうしたコストダウン最優先のイズムにドップリと浸かってしまっている会社や担当者は寧ろ多いものです。
そうなるとプランニング作業中も「コスト、コスト、」で頭の中はいっぱい。
当然ながら動線まで気を回す余裕も無い環境での間取り案作成過程では結果は推して知るべし。
更には建築前の打ち合わせ検討段階でもこうしたテーマへの議論が不十分なまま計画が進行し、新築完成後新居での暮らしが始まりようやく「なんかこの家動きづらいぞ」と気付き、「もっとしっかり考えれば良かった!失敗だ」と後悔しても時すでに遅しです。
これとは反対にプランナーが動線の重要性を理解し注意を払ってくれれば安心かというと、残念ながらそうも言い切れません。
と言うのも、動線の解決策というものには必ずしも何をどうすべきか明確な答えが予め用意されている訳では無いからです。
動線というものをテーマにした議論ではよく「回遊型動線」や「キッチン・洗面所の隣接」という方策が定番として語られるのを耳にした事があるのではないでしょうか?
キッチンを中心にして行き止まりを無くし、洗面所、リビングなどを経由してグルリと周回できる様な動線が「回遊型動線」、一方でキッチンと洗面所を隣同士に配置し直接出入りすれば家事を効率良くこなせるというものが「キッチン・洗面所の隣接」という考え方です。
どちらも家事動線に対応した方法論であり、「この2つを満たしていれば間取りの動線はバッチリ」といったスタンスの解説をプランナーから受ける事もあるのではないでしょうか。
何しろ動線の話となると、この2つは定番中の定番の存在として扱われます。
ややもすると「この2つの要件を満たした動線だから、この間取りはバッチリ!」とプランナーお墨付の雰囲気すら漂うことも・・・。
でも本当にそれだけで良い間取りと言えるのでしょうか?
もう少し深掘りしてみても良さそうに思えます。
それではどんな点を?
例をあげて見てみましょう。
下の間取り図をご覧ください。
動線という観点ではLDKとホールをつなぐ形でキッチンとリビング入口を介した回遊型の様な形態ですが、洗面室を巻き込む様な流れにはなっておらず、よく言われる回遊型としては少々緩め。
また、洗面室とキッチン位置も隣接はしておりますが、直接の出入りでは無くホールを介した流れ。
その意味では定番の「バッチリ動線」の間取りかどうかと言われると少々物足りなく感じられるかもしれません・・・・
でも、
次の様なライフスタイルを持つ方の住まいという想定を携え再度この間取りに目を通してみてください。
この間取りの動線評価が変わってくるかもしれません。
⬜︎ 動線を考えるカギはライフスタイル
まず洗面室とキッチンは直接出入りが王道の様にも思われがちですが、これの由来はかつて主流であった2層式洗濯機の時代に遡ります。
若い方には馴染みが薄いでしょうが、洗濯槽と脱水槽がそれぞれ分離され1回の洗濯をするのに両層の間を交互に洗濯物を移動させねばならない方式。
つまり洗濯が完了するまで何度も洗面室との間を行き来しなければならず、キッチンと洗濯室の位置関係は家事動線を考える上で非常に重要でした。
それが今では一度セットすれば脱水まで完了です。
勿論両室間の移動が容易に越した事は有りませんが、逆に言うとかつてほど顕著な効果ではないとも言えます。
また、回遊型もどの様な動きの想定を考え無しに、ただグルグル回れても期待した効果は上がらないでしょう。
むしろこれとは別に洗面所起点で考えるとこんな動線の考え方も。
皆さんの日々の暮らしにはいくつかの「ルーティーン」らしきものは有りませんか?
例えば入浴や洗面の動作とトイレの関係で
「お風呂に入る前には必ずトイレに行ってから」
「朝起きて洗面した後はすぐにトイレに行く」
こんな感じで無意識に生活の中に習慣化されたリズムがいくつかあるはずです。
このパターンであれば洗面室とトイレの位置はできるだけ近い方がスムーズですね。
他にも
「就寝前に歯磨きを終えたらそのまま階段で自室に直行」なんていうパターンの場合は洗面室と階段、
「外出先から帰宅したら即手洗い」を心掛けるのであれば玄関と洗面室と、それぞれスムーズに移動できる位置関係が便利なはずです。
外出先からの帰宅といえば、「スーパーでお買い物を1週間分まとめ買いを日常」としているお宅なら大量の買い物袋を抱えての帰宅となるはず。
こんな時には玄関からキッチンに直接運び込めた方が便利ですね。
この様に人それぞれの習慣や行動パターンといったものは、万人必ずしも画一的では有りませんので、一般論にとらわれず住まう人のライフスタイルに合わせて思案する事が、使いやすい動線を実現するカギとなってくるのです。
また、ここまで例示した動線の工夫は、家内での各動作の「最短コース」をたどれる様な部屋配置を念頭に置いたものでした。
ここでもうひとつ深めておきたいのは「人の動きと暮らしやすさ」の関係です。
例えばリビングのソファでゆっくりとテレビを見ながらくつろいでいる時、毎度家族の誰かが出掛けて行く時、家事で動く時、常に慌ただしく目の前を行き来せざるを得ない様な配置の間取りだったらどうでしょう?
落ち着きませんよね。
他にも洗面室やキッチンの建具は、いちいち開け閉めするのも面倒なので習慣として日常開けぱなしにしているお宅もあるのでは?
でも、これらの室内は中々常時整理整頓とはいかずあまり家族以外には見せたくないですよね。
ところが宅配便のお届けなど急な来訪者があった時、その応対ポイントとなる玄関部から洗面室やらキッチンやらの内部が丸見えの位置関係に配置された間取りはちょくちょく見掛けます。
これでは人が訪れるたび気になって、応対前に真っ先に洗面室扉をドタバタ閉めに行くなんて事も・・・
これもまた落ち着かない住まいの失敗事例のひとつと言えるでしょう。
この様に自分以外の動きを起点に考えた場合にも、自らの暮らしやすさにその動線は影響してくるのです。
⬜︎ 動線が工夫された良い間取り
さてここまでいくつか動線の考え方をまとめてきましたが、先程ご紹介した間取り案の主が例示したモデルの様なライフスタイルであるとして改めてご覧になってみませんか。
いかがでしょうか?
洗面室とキッチンだけでは無くトイレ、階段の位置関係、玄関からキッチンへの流れがピタリと暮らしのリズムにおさまっていませんか。
また、リビングのくつろぎゾーンは人の動きとは交錯しておりませんし、玄関からは各部屋の内部への視界は遮断されております。
これならゆったりとした暮らしに近づけそうです。
全体としてライフスタイルと住まい全体の位置どりが概ねかみ合っている様に思えませんか。
良い間取りに動線の工夫を欠かせません。
新築完成後に「失敗した・・・」なんていう残念な結末は何としても回避したいものです。
それには皆さん自身のライフスタイルとのマッチングがカギとなります。
陳腐な方法論のみに捉われず皆さんの暮らしやすさを引き立てるベストなアイデアを工夫したいですね。
パートナーズライフプランニング の「マイホーム購入サポート」コンサルティングは、使いやすい動線の工夫を盛り込んだ間取り案の作成をお手伝いいたします。
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コンサルの記事です→新築時の失敗や後悔を避けるには? 住宅コンサルタントの活用法
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