新築注文住宅で家づくりを検討する難しさの一つに完成品を比較検討出来無い事が上げられます。
それでいて最終的にはいずれかのハウスメーカー1社を選ばなくてはなりません。
各ハウスメーカー毎のセールスポイントを強調し編集された各社のカタログや、主観が混在したSNS情報からまだ影も形もない未来の我が家をどの様につくりだすかイメージするのは容易では有りませんね。
それに加えてハウスメーカー選びは対象となる住宅会社のジャンルも大手ハウスメーカーから地場工務店と幅広く、工法も木造、鉄骨、ツーバイフォーと様々。
おまけに「断熱性能重視」「耐震性能には自信」「デザイン自慢」「値段は他社に負けない」と各社アピールポイントも多種多様。
頭がこんがらがりそうです・・・。
ハウスメーカー選びで悩みに悩んでいる方は多いはずです。
そうなると、各ハウスメーカーの実物の住宅を自ら見比べ、違いを実感したいところですね。
ではどうするか?
皆さん真っ先に思い付くのが各ハウスメーカーの住宅展示場見学ではないでしょうか。
そこには各社の実物モデルの住まいを見て触れることが出来るのですから。
また、ハウスメーカー選びの為の比較だけでは無く、マイホーム計画で心配な住宅ローンの事や土地探しに欠かせない売地の情報なども、見学を通じて相談すれば様々な家づくり関連の情報が入手できるかもしれません。
そんな思惑も見学に訪れる皆さんの頭の中に有るのではないでしょうか。
確かに実際に足を運べば百聞は一見にしかずで、各社の建物を隅々チェックも出来ますし相談を通じてレアな情報も期待出来るかもしれません
しかし・・・
反面その思惑通りにいかない一面を多くの住宅展示場が内包しているのも事実です。
何でしょうか?
そう、実際の家づくりからは現実離れした華美な外観やインテリア、実生活とはかけ離れた間取りや規模は「おしゃれな家」や「かっこいい家」という次元を超え、ある種浮世離れした存在ですらあります。
また、うっかり色々相談しようものなら、セールストークの洪水やその後営業マンからしつこくセールスされ、かえって訳が分からなくなってしまう事も起こりがち・・・。
そんな心配をしている皆様に今回はハウスメーカー選びに欠かせない住宅展示場見学の攻略法をお話しいたします。
目次
⬜︎ 展示場見学も一苦労
皆さんが足を運べるエリアにはいくつかの住宅展示場があるかもしれませんね。
大規模な総合住宅展示場ともなれば多くの住宅会社が出店し数十棟規模の所も。
でも、規模が大きいからといって全てプラスになるわけではありません。
なにしろ大きなモデルハウスが建ち並ぶ住宅展示場は、ただ見て周るだけでも結構な重労働。
「片っ端から見ていくぞ!」と意気込んで見学を開始したものの、3社4社と足を運びぐるりと1階2階を階段を昇り降りしながら隅々見学していくうちに、興味関心もどこえやら。
だんだんと疲れを感じグッタリしてしまった経験のある方もいるのでは?
それだけではありません。
皆さんは住宅会社選び目的であっても、立場変わって営業マンからすれば喉から手が出る程欲しい有望客に映ります。
あの手この手で自らの受注に結びつけようと必死に食らいつくのはご想像通り。
各社営業マンが果敢にセールス攻勢を仕掛けるのは必定です。
アレやコレやのセールストークを投げ掛けられながらの見学は「自社自慢」のお土産ばかりを持たされて、本来お目当とする客観的情報を引き出すのにも一苦労する事でしょう。
何しろ住宅展示場は彼らのホームグラウンドなのですから。
⬜︎ 見学目的を明確に!
そんなこんなで思い通りに情報収集もはかどらないと、最初は楽しみにしていた展示場巡りも、見学を進めていくうちに疲労が蓄積し「もうここらでいいか・・」と妥協してしまったり、有効打が得られない焦りから「もっとたくさん見ないと心配・・」と、終わり無き展示場巡りが延々と続くと言った様な事態に陥る方をよくみかけます。
これでは何の為の展示場見学か分からなくなってしまいます。
事実、私へのコンサルティングのご相談もこんな悩みの中から始まることは珍しくありません。
せっかくの家づくり第一歩ですから有意義なものにしたいですね。
その為に試してみたいのは、予め住宅展示場の見学目的を明確化する事です。
ただ漠然と見学に臨むのでは無く、「見学プラン」を準備した上で足を運ぶのです。
そうすれば効率よく有益情報に絞った収集活動が図れますし、応対する営業マン氏たちのセールストークに振り回される心配もないでしょう。
でも・・・
「見学プランと言われてもどうすれば?」
そんな嘆きも聞こえてきそうです。
そこで、まず最初の展示場見学時に次の3点に的を絞っては如何でしょうか?
・住宅展示場の標準部材の確認
・各社第一のセールスポイント確認
・営業マン選び
順に見ていきましょう。
<住宅展示場の標準部材の確認>
各住宅会社にとって住宅展示場の最大の使命は集客、そして営業の足掛かりです。
自社商品の詳細を披露するというよりは、背伸びしてでも好印象をアピールする役割が優先されます。
したがって間取りは勿論、自社施工の一般的な住宅では採用されない様な特別な部材や仕上げが随所に盛り込まれがちです。
但し、「これもオプション、あれもオプション」となれば、「な~んだ。本当は大したことないんだ・・」とお客さんは興ざめです。
ついつい営業マンは標準仕様の展示場を装いたい心理が働きます。
「全て標準仕様の建物です!」
と言い切った方が「ステキなお家!」と好印象が期待出来ますから。
つまり、スタンダードな仕様なのか?特別仕立てなのか?それらを見分ける作業をしなければ、何となく雰囲気で「この会社の建物は他のハウスメーカーより素敵!」と話を進めてみたものの「実は・・・」なんて事も起こりがちです。
そこで見学している住宅展示場の標準部材の確認をしておきたいのです。
聞き方は簡単です。
「今見えている中に一般住宅で使う標準部材は有りますか?」
「この展示場で一般には余り使われない特別な部材や設備はどの部分ですか?」
と尋ねるだけです。
別に1つ1つの部材を確認する必要はありません。
この問いに案内する営業マン氏が
「全て標準仕様の建物です!」
と返したならば、
「この床材と建具もですか?」
それに加えてあなたの目に素敵に映ったタイル仕上げや、木調仕上げの部材を指し、
「この壁タイルも標準ですか?」
具体的なこの3点の質問を加えればOKです。
「いや、流石にこれは違います・・・」
慌てて撤回したならば、再度冒頭の問いを繰り返せば本当の姿が見えてくるはずです。
<各社第一のセールスポイント確認>
前項で述べた通り住宅展示場の最大の使命は集客、そして営業の足掛かりです。
そうなると見学中の応対もセールストークの洪水に呑まれ、数社も見学を終えた頃にはグッタリな割には何処がどうで何がなんだか分からなくなってしまうものです。
こんな経験は住宅展示場見学をした多くの方に覚えがあるのではないでしょうか。
家づくりを始めたばかりの皆さんが、全ハウスメーカーの細部まで知り尽くすなんて事をしようとすれば膨大な労力を伴います。
それよりは、意向に合いそうな数社をまずはチョイスし、そこから検討を深めていったほうが合理的です。
ところが先ほどの様なセールストークの洪水で各々の言いたい事をランダムに並べられカオスな状態に見舞われては冷静な判別がつきません。
そこで先手を打ちましょう!
「それじゃ一番のセールスポイントは?」
と尋ねてみてください。
もし更に色々並べてきても「何が一番?」と尋ねるのです。
但し一つに絞った質問には答えに窮する営業マンが案外多いものです。
「一概には・・・」「一つと言われても・・・」
とお茶を濁した答えが返ってきたり・・・。
でも、自社の強みを、はたまた他社より一番秀でた部分を把握していないようでは、自社の一番の強みを活かしたサービスを提供など出来ようはずがありません。
このあたりの見極めは次に述べる営業マン選びにもつながっていくのです。
<営業マン選び>
そして最後に営業マン選びですが、これが最も重要です。
どんなに優れた技量を持つハウスメーカーであっても、窓口となって実務を担う営業マンの人選を誤れば満足のゆくサービスは見込めないでしょうし、十分な知識を備えていなければここまで挙げた確認事項にも満足な答えを得られるか懐疑的です。
何しろ各ハウスメーカーの情報に誰よりも精通し、それを提供してくれるのは各社の担当営業マンなのですから。
ここの見極め方法と注意点については、まず入口の「来場アンケート」の記入から注意せねばなりません。
何故ならアンケートを記入した際の案内者があなたの担当営業に確定してしまうからです。
基本的に初回の訪問でアンケートの記入はお断りする方が無難です。
「ちょっとこの営業マンでは・・・」
不安を感じても後々のチェンジは中々厄介だからです。
この辺りの詳細と対策は過去の記事でも取り上げていますので、併せてご覧ください。
→ 住宅展示場見学前に知っておきたい!ハウスメーカー選びは営業マン選び
さて、難しいのはここからです。
どうやって理想の営業マンを見極めるか?
何しろ彼らは皆セールストークとセールススマイルで身を固めています。
その中から意中の営業マンを選び出さなくてはなりません。
これについては次の項で展示場内での立ち振る舞いも含めてお話ししましょう。
⬜︎ 展示場見学の立ち振る舞いに一工夫
それではどうすれば理想の営業マンを見分けられるのでしょうか?
中々難しい問題ではありますね。
何しろ知りたいのは表面的なものではなくその内側の姿です。
ひとつ試してみたい方法をご紹介しましょう。
展示場見学の立ち振る舞いに一工夫してみるのです。
先程も触れました通り、住宅展示場は彼らのホームグラウンドであり商談を成立させる為のアイテムでもあります。
展示場玄関にお客様が訪れた所から彼らの営業活動は始まります。
「いらっしゃいませ!!」とお迎えしたものの、その後はオロオロとお客様の後ろを付いて回るだけの準備不足営業マンはまずは論外として、大抵の営業マンは「まずはこの部屋、次はこの部屋」(大抵はリビングスタート)と皆さんを誘導して案内を進めます。
各部屋でこの説明に合わせてこの質問、次の説明ではこの話題と、お客様の情報を集めつつ距離感を詰めようと準備万端です。
そして展示場2階に設置された自社アピールコーナーで一生懸命自社製品の優位性を訴え、あわよくば隣接した打ち合わせブースへ着座を促し、商談へと話を進展させよう・・・・。
周到に準備されたこの流れの中で営業マンの品定めは容易ではありません。
繰り返しになりますが営業マン皆同様にセールススマイルとセールストークで身を固めているのです。
そんな時にはどうするか?
周到な準備を崩してしまいましょう。
例えば!
予め準備された進め方に沿った流れでは彼らの「素」の部分は見えにくいものです。
それならばその流れに乗らず、皆さんのペースで流れを作ったらどうなるでしょう?
その一つの策が2階からの内覧開始です。
先程案内準備と申しましたが、それはほぼ例外無く玄関~リビングといったように1階を隈無く案内し2階へと続く流れであり、それに呼応したセールストークが準備されています。
それがいきなり2階からの案内に切り替わったら・・・・・・。
全てのシナリオが狂ってしまいます。
そんな時に彼らの素の部分が見えてくるはずです。
「予定が狂いオロオロする人」
「快く思わない態度をとる人」
「強引に1階からの見学を勧める人」
「台本通り、2階でとうとつに自社商品の解説から始めてしまう人」
よく観察してみましょう。
「いらっしゃいませ!こちらからどうぞ」
「2階から見させて頂いてもいいですか?」
こんなやり取りでOKです。
そんな中で皆さんの意向を酌みつつ、臨機応変に案内に応じられる様な柔軟性と対応力を持つ人物であれば期待が寄せられるのではないでしょうか。
また、皆さんのペースで案内を受けながら冒頭で触れた
・住宅展示場の標準部材の確認
・各社第一のセールスポイント確認
この2点を尋ねるのです。
初回の見学は無理に具体的情報収集にまで深入りせず、前述の通りアンケートも記入しません。
但し名刺だけは受け取っておくこと!
後日期待できそうな営業マンの元へ再訪し、改めて情報収集の場を作れば良いのです。
急がば回れ!
優良な情報収集手段を確保してからのハウスメーカー選びの方が失敗の無い判断が下せるのではないでしょうか。
皆さんが具体的な家づくりの相談を開始するのはここからが本番。
それに相応しい相手を選び検討を進めていくのです。
この様な手順を踏めば営業マン同士のセールス攻勢に翻弄されることも無く、落ち着いた環境で家づくりがすすめられるのではないでしょうか。
じっくりと家づくりを進めていくには前準備が重要だという事です。