狭い庭を活かした素敵な間取りの新築注文住宅

一戸建を新築したならば新しい素敵な暮らし方を試してみたいですよね。

新築一戸建ならではの暮らし方のひとつとしてお庭ライフの楽しみがあるのではないでしょうか。

注文住宅で新築するならお庭のある家を素敵に使いこなせる間取りを考えてみたい!

そんな希望を持って家づくりに取り組む方もいることでしょう。

お庭でバーベキュー、ガーデンブランチ、ガーデニングとお庭のある家ならではのイベントは新築のマイホーム完成を心待ちにさせます。

一方で

「購入した土地はさほど広く無いし、いくら間取りを工夫しても狭い庭すら無理かも」

実用的庭のある家での素敵な暮らしをあきらめてしまっている方もいるのではないでしょうか?

たしかに土地が狭ければ物理的に狭い庭になるのはやむを得ずと感じるのは無理もありません。

昨今土地の価格上昇とあいまって、年々売地の土地面積が狭くなる傾向が続いております。

土地の単価が高くなった分、面積を狭くし売地としての価格を抑えようという目論見。

はたまた売地の面積を狭くし単価を上げても表面的な販売価格は変わらず、そうする事で大きな利幅を期待する売り手の事情。

いずれにしてもかつてよりコンパクトな売地が目立つようになったのが実態のようです。

希望に近い条件の土地情報を見つけたものの、苦労しながらようやく発見したその土地が手狭な面積であったとしたらどうでしょう。

なんとか希望する間数の間取りは入りそうだし駐車スペースも2台分確保出来るなら、庭のある家の暮らしまではしょうがないとあきらめモードになってはいませんか?

でも、せっかくの新築一戸建てでのマイホーム計画なのですから狭くても使いでのあるお庭は是非盛り込みたいですよね。

今回は狭い庭でも素敵に楽しくつかいこなせる間取りの工夫のおはなしです。

土地の狭さが間取りと庭に及ぼす影響

この記事をお読みの中にも一戸建てを新築する為に、まずは土地購入からという方は多いはずです。

先にも触れた通り、昨今の売地はコンパクト化が目立ちます。

私の事業拠点である仙台近郊でも、平成中期頃までは60坪から70坪台が中心となっていた土地面積が、近年では40坪から50坪台の売地がボリュームゾーンです。

概ね10坪程度土地面積が狭くなった勘定です。

「どうりで間取りが上手くつくれないはずだ!」

「こんな土地では狭い庭しか取れないのかな」

とうなずく方もいるでしょう。

では、新築用地が10坪狭くなることで、間取りづくりはどのくらい制約が生じるのでしょうか?

例えば新築一戸建ての間取りのボリュームゾーンともいえる30坪台半ばの床面積であった場合、具体的にはどの様なものなのか?

感覚的な話ではなく数字を基に土地の広さが新築計画に及ぼす影響を検証してみましょう。

 

新築用地面積45坪の使い方

まずは前述した新築用地10坪の差とはどのくらいの広さなのか?

ひとくちに10坪と言われてもピンとこないのではないでしょうか。

わかりやすいのは単純に新築間取りと土地面積の関係です。

10坪といえば建物の間取りに置き換えると20畳の床面積に匹敵するわけですから影響は少なくありません。

一般的な新築一戸建ての間取りでみられるLDKの広さが16畳から20畳くらいですですから、スッポリLDK分の広さ分の土地面積がコンパクトになってしまったということです。

もう少し詳細に分析してみます。

仮に36坪(約120平米)の建物を、土地面積45坪(約150平米)に新築した場合で検証してみましょう。

まず、この土地に占有する必要のある要素を並べてみます。

  • 建物
  • 駐車スペース
  • 道路から玄関へのアプローチ
  • 建物、隣地境界間の空きスペース

概ねこうした各要素にスペース配分しなければなりませんね。

下の図は45坪の土地に総二階建て36坪の建物(つまり1階は18坪)間取りを目安とする為に機械的にのせたものです。

この場合の各占有スペースはおおよそ以下の通りとなります。

  • 建物・・・・・・・・・・・・・ ・18坪
  • 駐車スペース・・・・・・・・・・ 11坪
  • 道路から玄関へのアプローチ・・・  4坪
  • 建物、隣地境界間の空きスペース・  8坪
  • 庭・・・・・・・・・・・・・・・  4坪

勿論各部の占有スペースのバランスは、同じ45坪の土地でも地形や建物間取りによって変わりますのであくまでも目安に過ぎませんが、この例にならえば庭への配分可能スペースは凡そ4坪程度という事になりそうです。

4坪と言えば建物間取りに換算すると8畳の広さです。

8畳分でも確保できればたとえ狭い庭であっても上々と考えるかもしれません。

しかしながらそう簡単にいかない課題も読み取れます。

  • 駐車スペースの背後が直ぐにリビングに面しており目隠しを施すスペースも無い。
  • 庭の位置が何となくとってつけた様な位置でどの様に活用するか?

あくまでもこの間取り例に限ったものではありますが、これらを解決しようとすると更に庭は狭くなってしまうかもしれませんし、庭を意識し過ぎ肝心の間取りそのものに影響が及んでもいけません。

限りある広さの土地を機能的に活用するには知恵を巡らす必要がありそうです。

 

ハイブリッドな土地利用で庭を確保!

庭そのものに配分できる物理的スペースに限りがあれども、土地の利用効率を高め、庭としての機能を確保するにはどうすれば良いか?

中々難しい問題です。

でもなんとかして新築一戸建ての大きなメリットの一つである庭の活用を試みたい・・・

その解決策のひとつが「ハイブリッド」というキーワード!

電気モーターとガソリンエンジンを混合し効率的に使い分けるハイブリッド車のそれです。

そのハイブリッドの考え方を間取りづくりに採用しようという試みです。

つまり、ある機能と他の機能、両面の役割を併用するゾーンを間取り企画に盛り込む事で利用効率の向上を目論みます。

今回、具体的な例として上げてみたいのが「庭」と「玄関アプローチ」の混合です。

庭を庭としてだけ、アプローチを単なる道路と玄関繋ぐ通路としてだけの機能を持たせるのではなく、両者の働きを共存させる空間として活用するのです。

下の間取り図でその考え方をご紹介しましょう。

狭い庭を活かした素敵な間取りでおしゃれな家づくり

一般的に皆さんがよく目にする新築一戸建ての間取りは庭、玄関前のポーチ、道路からポーチを繋ぐアプローチと3つのゾーンがそれぞれ別個に設けられているのではないでしょうか。

そうなると各ゾーンの機能的役割を果たすには相応の面積が必要となります。

それに対してこれらの機能を集約したハイブリッドなゾーンを設ける事、更には配置に工夫を凝らす事で、各部を狭いまま利用価値を制限する事なく、素敵な間取りの企画立案の可能性が見つけられれば素敵だとは思いませんか。

この間取り例をその様な視点で眺めて下さい。

玄関、リビング、和室に隣接したゾーンがそれにあたります。

決して広々とした空間ではありませんが、1階各居室に隣接したタイル貼りのデッキとしているので、色々と素敵なお庭ライフのアイデアが試してみれそうです。

  • タイルデッキにガーデンテーブルセットを設ければオープンエアのアウトドアブランチにはもってこい!
  • 室内ではニオイや油ハネが気になる鉄板焼きもここなら勿論OK
  • 床がタイルなので小さなお子様のプール遊びにも最適
  • リビング内のサブ玄関から直接出入り出来るので気軽で便利
  • 和室前の土間空間と一連で活用すればアウトドアグッズのメンテナンスの場所にも
  • 道路からデッキゾーンまでは駐車スペースと目隠しグリーンを挟んでいるのでプライバシーも配慮
  • 来客がリビング横の不意な来客通過を防ぐ為、アプローチ入口付近には門扉設置

如何でしょうこんな庭空間は?

各ゾーンを狭く分散するよりも配置と機能を集約しする事で、新築一戸建てならではの素敵な暮らしが実現しそうではありませんか。

 

狭い庭だと嘆かずに素敵な間取りを考えてみよう!

今回の間取り案はお庭活用法の一例に過ぎませんが、これに限らずすべての間取りづくりにおいてこれは外せないという鉄則があります。

それは他のコラム記事でも何度となく触れているのですが、土地と建物をセットで企画立案する事!

これにつきます。

私へのご相談の際、相談以前にそれまでお客様が話を進めていたハウスメーカーから提示された間取り図を見せて頂くケースがありますが、建物間取り単体で敷地の記載が一切無いものや、間取りの敷地配置程度は描かれているものの、駐車スペースも庭も何も大きく割愛された描写のものが散見されます。

単なる手抜き間取り図というにとどまらず、恐らく土地状況への関心が希薄な状況での作図過程が想像されます。

こうした作業手順では気の利いた間取り案は中々誕生しません。

勿論素敵なお庭の使い方も・・・

土地と建物は不可分な存在なのですから。

せっかく新築注文住宅でのマイホームを実現するのなら誰もが素敵な住まいを目指したいはずです。

それには建物は建物、庭は庭ではなく一体での企画が不可欠と言えるでしょう。

「狭い庭はやむを得ない・・・」

諦めるのはまだ早いかもしれません!

あなたの検討中の間取りも、更に工夫の余地があるかもしれませんね。