リビング階段の間取りって結局メリットとデメリットどっちが多い?

家づくりの中で間取りを考えていく時、色々なアイデアが検討に上がります。

おしゃれなデザイン、実用的な水廻りの配置や収納、広いLDKと多様ですが、昨今リビング階段がご希望やハウスメーカーからの間取り提案で検討の候補に上がる事が多くなりました。

マイホーム計画でリビング階段の間取りを希望される方々は、教育上の目的が希望動機となる事が多い様です。

学校から帰宅した際、玄関~ホール~階段経由で直接子供部屋へ向かうのでは無く、一度リビングを通過する事でお子様との接点の機会を儲けようというアイデアです。

また、これとは別にLDK上に吹き抜け空間を設け、これに階段を組み込む事で空間の広がりを演出しおしゃれな家づくりのインテリアデザイン手法として試みる方もいらっしゃいます。

これに対しハウスメーカーからの間取り提案でリビング階段が登場するケースもあります。

この場合、建主の希望とは関係無く提案される事も見受けられ、この様な間取り図作成の意図としてはLDKに直接階段を設置する事でホール面積が削減され、コンパクトな間取りによる住宅価格のローコスト化を図ろうというものが多い様です。

新築注文住宅でもこの様な経緯と思われる間取り図は見られますが、企画型の住宅(間取りが決まっている)や新築建売住宅で特に目立ちます。

さてこの様なリビング階段の間取りですが、メリットとしては前述した双方の採用動機が上げられるでしょう。まとめてみますと以下の通りです。

・家族間の接点の機会を設ける事による教育的効果

・吹き抜けを併設する等した広々とした空間演出のおしゃれ効果

・ホール面積圧縮効果による建築価格のローコスト化

それでは反対にリビング階段の間取りによるデメリットや注意点は何でしょうか。

大きくは暖房効果・音・動線の3点が考えられます。ひとつづつ見てみましょう。


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⬜︎  暖房効果      

リビング階段の失敗談や後悔話で冬場の暖房効果を指摘する話を耳にした事はありませんか?当然の事ながら熱は上昇しますので2階に暖かさが逃げてしまい冬場は寒いのではないかという懸念を感じる方も多くこの辺りの失敗談は気掛かりなはずです。

この様な懸念に対し「仙台であろうと札幌であろうと、その地域の断熱基準に見合った断熱性能の家であれば暖かさは十分確保出来、自社の建物は基準を超える断熱性能の家なので大丈夫」という趣旨の説明を相談窓口のハウスメーカーから受け安心して採用してみたが、新築後入居してみたらやはり寒かったという失敗談です。

この場合、断熱性能と暖かさの関係説明は基本的な部分で必ずしも不正確ではありません。であるからこそリビング階段の家が近年よく見かける様になったという事も言えます。

しかし肝心な部分の説明が不足してますね。

恐らくお察しの方もいらっしゃると思いますが、暖まる過程が問題なのです。

リビングの暖房器具で暖めた熱はまず2階から暖まり、1階にあるリビングが暖まるまでには時間がかかってしまいます。日中も常時誰かが家に在宅で、常に暖房が成されていれば概ね想定通り問題ないのですが、ご夫婦共稼ぎで夕刻帰宅後に暖房開始となるとLDKが暖まり始めるまでにはタイムラグが出てしまいます。

勿論、タイマー等の自動運転で予め早めの暖房開始で凌ぐ等、対処法はありますが、その分余計に光熱費をかける事になりますので、別途効率の問題が生じます。

新築完成後にどうしても気になり建具を増設したり、ロールスクリーン等遮蔽具での対応策を講じているお宅も多く、どうせ新築するのであれば応急的な対処では無く、予め状態を知った上で判断しておきたいものです。

また、根本的な問題として建物の断熱性能、または暖房器具の能力が満たされているかという点も押さえておかねばなりません

断熱性能を表す基準として外皮平均熱貫流率(UA値)が有りその地域毎の値が定められてますが(仙台はⅣ地域)、法的規制はありませんので(2020年からの法令化も見送られております)この基準に満たない水準の建物も残念ながらございます。

また、暖房器具の能力もLDKの部屋面積だけでは足りず、階段及び2階ホール分まで加えた面責換算が必要です。

これらのスペックが必要値を満たしてなければそもそもの水準に及びませんのでこの辺りも見落としが無いように要確認の事項ですね。

⬜︎ 題       

リビング階段の間取りで思いがけず不満を感じるものに音の問題があります。

新築入居後LDKで発生した生活音が2階の個室に、反対に2階の音がLDKへと伝わり不自由を感じるというものです。

一般的な間取りであればリビング~ホールの建具、2階ホール~個室の建具で2階遮断され、且つ階段位置もリビング位置からホール分隔て、少々離れて位置します。

これに対しリビング階段の間取りは2階ホール~個室の建具1箇所のみの遮断で1階にはそれがありません。また、階段位置もLDK直結なので音も最短距離で伝わります。

更にリビング階段に加え上部を吹き抜けとした様なおしゃれな家づくりの場合は、その開放感が独自のかっこいいインテリアデザインとしての演出にもなりますが、深夜リビングでの映画鑑賞の音が2階寝室に漏れるのを気にしてボリュームを下げ迫力不足を我慢したり、反対に個室で音楽を楽しむ時にも気遣いが必要だったり、女の子がいれば来客時の2階のトイレを流す音を気にしたりと、せっかくの新築一戸建てなのにアパート暮らしの様に気遣ったり気になったりというのがストレスに感じられるという失敗談、後悔話は割とよく聞かれます。

1・2階間の遮音性能というと「D値」という数値で表示され、大手のハウスメーカー等でハウスメーカー選びの検討している方はカタログ等で各社のこの値を目にするかもしれませんが、このD値は各階の部屋で発した音が床や天井の部材を伝う固体伝搬音としてどれ位透過損失するかの性能表示であり、ここで問題にしている音の伝わりは階段を経由して侵入する空気伝搬音が原因なので1・2階間の遮音性能を向上させても効果が上がりません。

間取り上でLDKと2階個室間に建具を増設する、階段から個室までの距離を十分に取るなどの工夫が必要です。

何分にも音の問題は個々の主観がございますので気になる方は新築済みの実例で予め実体験し確認しておくのも一つの方法でしょう。

 

⬜︎  動線の注意点      

動線とは室内での人の動きの機能性を指しますが、お子様の教育的観点からのリビング階段の間取りは正に動線上の効果を狙ったものです。

但し、この動線も少々注意をしませんと「なんだか落ち着かないLDK」になってしまう事があります。下の2つの間取り図をご覧ください。

新築間取り図 リビング階段

プランA・プランB共にリビング階段の間取り例ですが、まずプランAをみますと、リビングから階段へ向かおうとすると破線に沿ったルートの動線となりますが、リビングソファでくつろぐ者からして、すぐ側が歩行ルートになっている状態は結構落ち着かないものです。時にテレビの前を横切られるなんて事になればなおさら・・・。

次にプランBですが、階段の登り口付近に洗面所、リビングの入り口と家族の出入りが集中しております。リビング内での移動もこれに加わると家族の動線が交錯する「混雑」ゾーンが出来上がってしまっています。

一般的なホールを介して洗面室、階段へ接続する間取りと比較し、LDKに全ての動線が集約され過ぎると室内にこの様な混雑地帯が出現してしまう事がよくあります。

間取り図作成の過程で新築後の住まいでの生活シーンをイメージしながら立案していくのが肝心です。


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⬜︎   間取りづくりの場面で    

リビング階段の間取りについて取り上げて参りましたが、私が承る住宅購入のコンサルティングでも間取りのご相談の中でリビング階段のご意向やご質問が出てくる場面がよくあります。

お客様方からのご意向の場合は、多くの場合これのメリットを理解された上でのお話ですので、支持の動機を確認しながら今回取り上げたリビング階段固有の注意点を喚起し、プランニングする事になります。

その結果メリット、デメリット両者を比較し他の代案を求める方、ウィークポイントへの対処策を盛り込みながらリビング階段を採用する方と選択は分かれますが、予め長所短所を知っておけばご自身にあった案なのか、また考慮すべき点も的確に判断ができます。

つまり今回のテーマであるリビング階段の間取りのメリットとデメリットは、そもそもどちらの要素も存在し、それらを冷静に評価した上で、ご自身のライフスタイルにとってメリット、デメリットのどちらが多いのか判断した場合、答えは一律では無く個々のご家庭で判断は分かれるという事です。

いずれにしましても熟慮し新築完了後に失敗談や後悔話にならない様にしたいものです。

パートナーズライフプランニングの「マイホーム購入サポート」コンサルティングでは新築注文住宅の間取り図作成はもちろん、住宅ローン始めとした住宅資金計画もライフプランを踏まえて解りやすくサポート。

こちらもご覧ください新築時の失敗や後悔を避けるには? 住宅コンサルタントの活用法

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この記事の監修<br>パートナーズライフプランニング<br>代表 栗山 琢磨

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パートナーズライフプランニング
代表 栗山 琢磨

仙台で生まれ育ち、大手ハウスメーカー・外資系生命保険会社勤務を通じて得た住宅・不動産・ライフプランの豊富な実務経験と専門資格のスキルをベースに2011年起業。

住宅コンサルタント・家計設計コンサルタントとして相談対応域は住宅ローン・土地探し・間取りづくり・ハウスメーカー選びといった住宅購入相談から学資や老後の資金準備・生命保険相談と皆様のライフプラン全域をカバー。

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この記事の監修<br>パートナーズライフプランニング<br>代表 栗山 琢磨

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