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新築での間取り図作成のポイント2回目です。

前回は間取りを考える際、おしゃれな家やかっこいいデザインにする為のご希望を優先的に盛り込む前に、状態が確定している「土地の状態」「建築法規」「予算」の3要素を中心に企画する事がツボであるというお話をしました。

状態が固定化され変異の可能性が無く、間取り図作成に影響を与える要素なのであればここから着手し企画を立てた方が確実性、合理性の点で勝るという事です。今回の記事からご覧になった方は、是非前回のコラムもご一読ください。

「土地の状態」は新築する自己の土地は勿論、隣地や道路も含めて観察分析した情報から間取りを左右しそうなものを発見し、そこから必然的に配置すべき部屋があるのであれば優先的に位置どりをしてしまおうというのが前回のお話で、下の図1の土地の場合カーポート・玄関はD、リビングはAのゾーンが相応しいと結論付けられました。

新築間取り図作成時の土地分析資料

(図1)

しかし、その位置どりはまだ正確なものではなく、土地に対する概ねのゾーンに過ぎません。例えばリビングであれば庭先をどの位まで詰めて良いのかその具体的数値により以後の間取りの展開が変わります。

また、観察した隣地の状態はその後、建物新築等で環境が変化してしまう事も有り得ます。

そうした場合の対処に「建築法規」が手掛かりになるのです。

 

<建築法規>

一口に建築法規と申しましてもその内訳は構造、性能、用途と多様です。

勿論全てが大なり小なり間取りに関係してくるものでは有りますが、特に都市計画法のひとつである「用途地域」の関わりが重要です。

簡単に用途地域をご説明しますと、都市計画区域の中に指定され、例えば仙台市であれば仙台市ホームページ上の都市計画情報でも確認できます。

(郊外は指定の無い地域も有りますが土地探しをなさるような場所は概ね指定されています)

これの目的として、土地には様々な用途が有りますが、それぞれが混在してしまうと以下のような混乱も懸念されます。

◇ 一戸建ての新築に住んでいたら目の前に工場が建設された。

◇ 3階建ての新築注文住宅を計画しているが、後ろの住人から反対された。

◇ 周囲は新築一戸建てが建ち並ぶエリアだが、いい土地があったのでマンションを建てたい

◇ 土地探しでいい土地を見つけたが隣の空き地に騒音を出す店舗が来ないか心配。

原則、個々の土地にはその所有者にそれを使用する権利がありますが、それだけでは互いの利益がバッテイングするケースも出てきます。ある人には有益な用途でも他の人には不快な状態であったり、不快に思う人の主張のみを通せば自己の土地利用が不当に制約を受けたりという具合にです。

そこで土地の用途目的から大きく住居系・商業系・工業系に分類し、更にそれぞれを細分化し地域区分する事で規制の目的や強弱を分類したものが用途地域であり、図2の様に区分されています。

間取り図作成 用途地域一覧

(図2)

各指定を受けた地域の中で規制を受ける主な事項は以下です。

◎ 建物の種類

◎ 建ぺい率・容積率

◎ 高さ制限

◎ 斜線制限

◎ 日影規制

◎ 壁面後退

各地域内のこれら事項を規制する事でお互いの権益を守ると共に、周辺を同様の目的を持った用途の地域とすれば、利害の衝突を最小に抑えられるという事です。

制約事が一番厳しいものは第1種低層住居専用地域ですが、建築物は概ね2階迄の高さの低い住宅に限られ、且つ居住環境を最優先しているので工場やビルは勿論、店舗の建築にまでその制約が及びます。

また、工業専用地域は名前の通り工場関係の用途が主で住宅はここには建築できません。

さて、今回は用途地域のご説明はこの程度に留め、これを間取り図作成にどの様に活用していくかに話を進めます。

例えば南面の隣地が空き地や平屋建てだった場合、皆さんの土地への日当たりの影響は受け難いので、少々庭先を詰めた間取りでも問題無い様に思えますね。

でも平屋の場合も新築であれば余り問題有りませんが、築年数が古い建物であれば近い将来新築されるかもしれませんし、更地の場合も同様です。その時どんな建物が建つかは当然コントロール出来ません。平屋の家か3階建てが自己の敷地にピタリと接近してくるかにより影響が懸念されますね。

例として、その場所が仙台市内で図1で示した第1種低層住居専用地域だった場合、建物の高さは10メートルまでに制限されこれは一般的には2階建までの高さです。また建物面積も容積率60%(一部80%)なので60坪の土地の場合36坪までしか建てられず、且つ、隣地からの建物離れも1メートル以上確保し、加えて北側斜線制限で北方向隣地の日当たりを考慮した設計にしなければなりません。

つまりここで前の土地に大きな建物がビッタリと接近して建ったらどうしようという懸念は無用だという事です。

但しこれが第1種住居地域になると10メートルの高さ制限は無く、容積率も200%で120坪まで建築可能、隣地離れの規制もなく斜線制限もかなり緩やかになりますので、その場合の影響は無視できません。

この様に各用途地域の制限の範囲を知る事で、制限を超える建物は建ちませんのでかなり具体的に想定を立てられます。

これで先に挙げたリビングの具体的配置を割り出す為の庭先空間の数値が見立てることが可能です。

下の図3で示したaのラインが見えてきました。

新築間取り図作成 建物配置計画

(図3)

また、隣地の建物だけでは無く皆さん自身も用途地域の制限の中で新築の間取り案を考えなければなりません。

南側の建物ラインは見当がつきましたが北側はどうでしょうか?

これには斜線制限を計算します。それに基づき道路方向に最も接近させた値がbだとすると、間取りの南北方向の長さcは最大でY−(a+b)が目安という事になります。また東西方向の最大値dは第1種低層住居専用地域であれば東西各1メートル隣地との空間を取りますのでX−(1+1)となります。

これで建物外形の最大値(黄色の線)が見えてきました。

そうしますとcとdの長さからLDKを南北方向、東西方向いずれに展開させた方が妥当かを考察する判断材料になるという具合に間取りの合理的配置案が順次構成されていきます。

この様に土地の状態を観察分析し建築法規と照らし合わせる事により間取り案のかなりの要素において合理的且つ具体的な道筋が見え、この想定の上に企画案を整理するか否かで、新築入居後のマイホームの完成度や満足度の実感は差がついてしまうものです。

また、今回の話の本題ではありませんが、土地探しの場合、検討している土地物件を評価する場合にも同様の手順で観察すれば的確に判断する為の有力な手掛かりとなります。

 

<予算>

土地の状態把握と建築法規の関わりから間取り図作成の合理的な道筋が見えてきましたが、これを基に具体的な案としてまとめていく上でもうひとつ「予算」との釣り合いを忘れてはいけません。

間取りは決して機能性だけで素敵な家づくりが実現できるわけではありません。

住宅購入計画を新築の注文住宅で検討しようとなればおしゃれなインテリアやかっこいい外観、住宅展示場で目に留まったアイデア等、チャレンジしてみたい事も色々あるでしょう。

但し、様々な素敵な家づくりへの付加価値の中でも間取りに関わるものは住宅価格に直結するものが多く、予算への考慮が疎かなままでのプランニングしてしまうと、

「間取り図は出来たけれど、この案じゃ見積価格が予算オーバー」

これでは間取り図作成も最初からやり直しです。

予算の方向付けが定まっていないと実現性を伴わない案が一人歩きしてしまいます。いくら気に入った案が出来上がったとしても、予算オーバーした分を住宅ローン借入額を無理に増額して住宅資金の解決を図るなどというのは現実的とは言えませんね。

あくまで住宅資金計画で妥当と考える自己資金の捻出と、返済計画に問題の無い住宅ローン借入額を合わせたものが予算ですから。

また、私に住宅購入のご相談を頂く方のお話で、それまでに相談窓口としてきたハウスメーカー との間であった以下の様なやり取りをよく耳にします。

◇ 土地探しの最中に土地はまだ見つからないが、参考までに間取り図を作成しますと言われた。

◇ 住宅ローンの借入額は決まってないけど間取り案を提示された。

よくハウスメーカー 営業マンは商談を進める誘い文句として「参考として・・」というフレーズで間取りの話に誘い込もうとしますが、今回取り上げた3要素が揃わない中でいくら間取り図を作成してもそれは絵に描いた餅に過ぎません。本当のプロはその様な仕事をしませんので、ハウスメーカー選びの判断材料にもなりますね。

以上間取り図作成に欠かせない3要素のお話をしてきましたが、この3つを十分に観察し、分析し、判断し基本的方針が決まれば次はいよいよ皆さんのご希望を計画案に反映させる番です。

なぜご希望の反映が4番目かお分り頂けましたね。

土地の状態・建築法規・予算は固定された要件ですので、それに基づいた最良の接点を端折れば即不都合が出てしまいますが、ご自身の「こんな風にしてみたい」「あんなデザインも好き」という個々の希望は絶対的な要件では無く、大きく2つ変化の余地があるからです。

ひとつは、能動的変化です。せっかくの住宅購入を新築の注文住宅で計画するならばおしゃれな家にする為、かっこいい外観やインテリアを目指して色々なハウスメーカーの住宅展示場やWebで見た外観デザインのアイデアを参考にしながら色々なご希望が膨らんでいるかもしれません。でも、ひょっとしたらまだまだ知らない新しい素敵なアイデアに触れる機会があるかもしれないですね。その意味では現時点のご希望はまだ不変な状態では無いからです。

二つ目はご希望と3要素がバッティングした場合の受動的変化です。

ご希望優先で間取り図を作成すると土地状態との相性が噛み合わず、日当たりが犠牲になる、使い勝手が悪い、もしくは予算をどうしてもオーバーするという状態に陥る事があり、その場合は何らかの対応を検討しなければなりません。

この場合は、可変性の無い3要素で解決を図っても妥協的な対応しか望めませんが、ご希望を見直す事で調整を計れば、前述の新しいアイデアの取り込み等で妥協とは違った形の解決案を発見できるかもしれません。

間取り図作成は家づくりの成果に直結しますので、手堅く進めたいものです。

裏付け無い感覚的なものから着手せず、確実視出来る要素を手掛かりに案を練っていくのが間取りづくりのツボという事になりますね。

パートナーズライフプランニングの「マイホーム購入サポート」コンサルティングでは今回取り上げました新築注文住宅の間取り図作成はもちろん、住宅ローン始めとした住宅資金計画もライフプランを踏まえて解りやすくサポート。

土地探しやハウスメーカー選びも含め専門的にお手伝いするワンストップの相談窓口です。

素敵なマイホームを実現したい皆さんのご相談をお待ちいたしております。

初回ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。