仙台の住宅コンサルタント、パートナーズライフプランニング です。
私の住む仙台も春間近といった雰囲気。
ひと頃に比べると日照時間も長くなってきました。
日照時間といえばマイホーム購入で間取りを考える際、お部屋やお庭の日当たりは注意を払いたいポイント。
特に新築するのなら冬でも日差しが差し込み明るく暖かな暮らしになる様な間取りが実現できるのが理想ですよね。
反対に、せっかくの新築の住まいが昼間でも常時明かりが必要なお部屋と言うのでは残念です。
何しろ太陽の光はどんな設備器具でもこれに代わるものは有りません。
だからこそ家づくりにおいてハウスメーカーから提示された間取り案がこのテーマを考慮したプランニングになっているか否かは重要であり、そのチェックを怠らない様に努めたいのです。
とは言いながらも特に新築注文住宅の場合、皆さん自身で紙面に描かれた間取り図から日当たりの様子を読み取る事は出来ますか?
配置図面や立面図を加えたとしても、そこから想像を働かせ状態を把握するのは少々難しい作業に感じるのではないでしょうか。
自分自身での読解が難しければ、ハウスメーカーの担当営業マンやプランナーに確認をする事になるでしょう。
「この間取り日当たりは充分ですか?」と尋ねると
「大丈夫です!」との答え
それならとその大丈夫な間取りで計画は進み住まいも完成、新居での暮らしが始まってみると
「新緑の季節から暮らしはじめ、お庭もリビングも明るく快適!」
「決して広いお庭では無いけれどもガーデニングも始めてみたりととりあえずは満足」
まずは心配も杞憂に終り一安心です。
ところが!!
季節が巡り秋になり冬を迎え気付いてみたら陽が全然差さなくなってしまった・・・・・
実は結構良くある家づくりの失敗談なのです。
既に家は完成し暮らしも始まった後です。
どうしようもない事は分かっていながらも担当営業マンに
「最初は良かったけど、冬は陽が全然差さないじゃない」と伝えると
「流石に冬はしょうがないですよ」との答え
一番陽の光が欲しい季節に、これからずっとこんな冬を迎えねばならないと思うと、もっとしっかり確認すれば良かったと後悔してしまいますが時すでに遅し。
マイホーム計画がこれまで暮らしてきた現居の建て替えであれば勝手知ったる我が家の事ですから「冬になればここまで前の家の影がくる」と察しも付きますが、新たに求めた土地での新築ともなればこのあたりの感覚は全く備わっておりません。
太陽の高度は季節によって変わる事は重々は承知していても、その変位の感覚は中々つかみづらいものです。
また、中には日当たりについて十分な議論も無しに打ち合わせが進行していくケースも良く見かけます。
そもそもプランニング作業は庭先の空間をイジメた配置でも気にしなければ敷地に対する間取りの制約が緩くなり考える作業は楽。
でも庭先空間をイジメた配置という事は前隣と接近する訳ですから狭くなれば狭くなる程、庭も室内も日照環境は厳しくなります。
そんな過程で作成し、プランナー自身も「日当たりマズイかも」と感じるレベルの案であればある程日照の説明はスルーしたくもなるのでしょう。
恐らくそんな流れだったのかな?と裏事情を推察したくなる様な間取り図に出くわす事は度々。
お客様が私への相談以前にハウスメーカーから提案を受けた間取りを拝見してみるとアレアレ
「この案では冬場全く陽が差さないですよ」
との私の指摘に
「まさか?」
「いくらなんでもそんな間取り作らないんじゃ?」
ピンと来ない様子に図解も交え説明すると、はじめて状況を把握し慌ててプラン変更というケースも幾度と無くあります。
そもそも明らかに難のある案は勿論のこと、先に例えた通り季節の移り変わりによる太陽高度の変位を見落としてしまう事で、一年を通した一定期間に日照条件がかなり厳しくなる懸念を抱えている案は意外に多いもので注意が必要です。
でも、一見難しそうなこのテーマですが、ツボを押さえてしまえばさほど難しい問題ではありません。
季節による太陽高度から予め日照のラインを想定しておくのです。
それでは最も厳しい時期と反対に良好な時期ではどの位の条件差があるのでしょうか?
詳しく見てみましょう。
⬜︎ 夏至と冬至の日当たりこんなに違う
仙台を例として夏至と冬至の南中時の太陽高度を比較してみます。
これの計算には緯度が欠かせません。
仙台市の緯度は北緯38°16’ですのでこれを元に太陽高度を計算すると
夏至75.2度、冬至28.4度がそれぞれの太陽高度。
30°60°90°の三角定規を思い浮かべて頂くとイメージしやすいと思いますが、1年を通してみると随分と太陽の位置に差がある事に気付かされます。
それではそれぞれの季節で庭や室内への日照の具合はどの様に変化するのでしょうか?
また、隣地建物の影はどの様に影響してくるのでしょうか?
これには図解した方が理解し易いと思いますので下図で説明しましょう。
緑色は南隣地の建物を示し、建物の軒の高さは2階建で概ね地上6メートル程、屋根の軒先が敷地境界ギリギリのラインに収まるような配置であるとしましょう。
そこに重ねたオレンジのラインが夏至と冬至における南中高度からの入射角度で差し込む日差しです。
南隣地の屋根をかすめて通過する状態に線を置いていますので、ここで引いた入射線から下部は隣地家屋の影、つまり直射が当たらない状態という事になります。
隣地境界から自らの庭先地面に落ちる影ラインの離れは
夏至≑1.6M /冬至≑11.1M
如何でしょうか?まじまじと比較すると季節による差はこんなにも大きいのですね。
次は1階室内への日当たりの状況です。
まず図内で青くAと示したのは、夏至の時点で建物に全く影が及ばない状態に配置した1階断面図になります。
ここでの庭先離れは夏至の影ラインと同じ約1.6M。
つまりここまで庭先空間を詰めたとしても、この季節の南中時の日照は室内への影響はないという状態です。
続いて1階断面Bの配置を見てみましょう。
冬至の南中高度の日照ラインが窓の高さを上回っているのが読み取れます。(窓高は2Mの想定)
これはどういう事かと言えば、1階室内に日が全く差さなくなる状態を意味しています。
この場合の庭先離れが約6.5M。
という事は庭先をこの寸法以上確保した配置にして、ようやく僅かずつ日が室内に差し込む状態という事であり、これを切った場合には日差しは全く期待出来ない状態という事になります。
⬜︎ ハウスメーカー任せにしないで自分でチェック
新築計画に伴い土地探しが必要な方は、相談先のハウスメーカーから情報提供を受けるケースも多いはずです。
加えてその土地情報に合わせた間取り案の提案を受ける事もあるでしょう。
土地を土地だけで評価せず、間取りを乗せた状態で評価するのは重要なステップ。
その上でその案を基に現地確認をすれば、よりリアルに土地を観察する事が出来ます。
但し、注意したいのがその時の季節。
例えばそれが5月~7月頃の様に日当たり条件の良好な季節であった場合、付き添ってくれた営業マンも
「この間取り案だと土地上のこの辺りにリビングが来ますから、前の建物の影も心配ないですね」
などと現地説明を受ければ「なるほど心配無いな」と安心してしまうかもしれません。
もしそれがBの様な配置であったとしても・・・
結局、そこには気付かず話が展開、初冬に新居が完成してみるとなんと!
「1日中日が差さないリビングになっちゃった」
ここで気付いても時すでに遅しです。
営業マン心理とすればネガティブな話題には触れたく無いのが心情。
プランナーも無理を効かせる程プランニング作業は手間がかからないものです。
それでいてここまでのお話の通り敷地に対しての日照環境は四季を通して変化いたします。
冒頭にも触れた通り日照の代替えを設備で満たす事は叶いませんから、後で「シマッタ!」と後悔を残さない様、チェックを怠りなくしたいテーマですね。
但し注意すべきは、実際の立地は今回例題として示した図通りとは限りません。
隣地建物の高さ、離れ、高低差、方位これら複合的なもので状況が決まります。
学生時代の数学を思い出し、ハウスメーカー任せにせず自らチェックしてみてはいかがでしょうか。
ご不安な皆さんはパートナーズライフプランニングの「マイホーム購入サポート」へ是非ご相談ください。
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