新築注文住宅での家づくりといえば、何と言っても間取りづくりが楽しみですね。
せっかく新築するのですから、素敵で使いやすい間取りの家を実現したいところです。
ところで使いやすい間取りとは何でしょう?
マイホーム計画を思い立ったキッカケにそのヒントがあるかもしれません。
「部屋が狭くてソファも置けない」「家事動線が悪すぎ」「冬になると日がささない」「子供部屋を準備しなくちゃ」と現在の住まいへの不満がその動機になっているのであれば、新築後の間取りではそれが解消されていなければなりませんね。
この様に間取りに関わるテーマや課題は様々ではありますが「収納」の悩みが動機の一因になっている方はいませんか?
「モノが部屋の中に溢れている」
「片付けようにも、しまう場所が足りない」
こんな悩みを新築した住まいでは解決したいという意向は、私のコンサルティングへのご相談でもよく投げ掛けられます。
これの対策を講じないと日々の生活での暮らしやすさに関わるのは勿論ですが、せっかくお部屋のインテリアもおしゃれなデザインに工夫を凝らしても家財がゴチャゴチャでは台無しです。
十分に注意を払って検討したいですね。
では、間取り図作成において収納を考える時、注意を払う決め手とも言うべきポイントとは一体どんなところなのでしょうか?
先の様に収納の充実を念頭に置く方からの要望の多くは「収納の量」の充実に関心が集まります。
確かに、現状の悩みが「モノが収まりきらない」のであれば、その充実を図るのはもっともです。
しかしながら、実はここがちょっとした落とし穴が・・・。
収納量の充実だけでは残念ながらお悩み解決とはいかない事もあるのです。
それではその辺りを深掘りしてみましょう。
まず、収納量が充実した間取りとは、何をもってそれを評価するでしょうか?
間取り図作成を依頼したハウスメーカーから説明を受ける場合、こんな解説が添えられるかもしれません。
「1階にはココとココ、2階には各室とホールに収納を設けました」
数多く設置したから収納量は充実したと言う話ですね。
「収納面積は建物全体面積の1割確保しました」
こちらは収納面積を計りの根拠とする説明ですね。
この様に数と面積2つの視点を根拠として収納量の評価されるケースが多くみられます。
確かに収納そのもの量を議論しているのですから数と面積にスポットを当てて評価する事に違和感を感じないかもしれません。
しかしながら、両者ともその表示自体に決して間違いはないのですが、それだけで収納の充実度を計るには少々不足があります。
何が不足しているか?
そもそも収納の機能とは家財を納めるところにありますが、家財自体はジャンルが実に幅広く、ボールペンや定規といった筆記用具から洗剤の買い置き、モップ・掃除機といった掃除用具、衣類、タオル、寝具といった具合に大きさも多種多様です。
こうした個々の収容物リストを思い浮かべていくと、より先に挙げたような収納の数や量を充実させる方向へ向かいがちですが、それだけでは解決しきれない課題が生じるはずです。
例えば幅1.8m奥行き0.9mのいわゆる押入れサイズの収納を各所に配置し数と量の充実を図ったとします。
さて、そこにお引越し後の家財を納める事を想像してみてください。
まず、寝具はジャストサイズでピタリと納まるでしょう。
それでは衣類はどうですか?
内部にハンガー掛けのパイプを設置しておけば衣類の収納にも適している様にも思えますが、奥行きが少々無駄に感じるのではないでしょうか。
というのも押入れの奥行きは内寸で80センチ程度、これに対しハンガーと衣類幅50センチ程ですから残りは約30センチ。
この寸法では2列にするには足りませんし、衣類の前には棚は置けません、かといって衣類の奥に棚を設けてもせっかく吊るした衣類をかき分けなければその奥の棚は探れず中途半端な奥行きといえますね。
また、リビングに同サイズの収納を設置し、生活雑貨の収納場所と目論んだとします。
日常的に使う小間物が中心になるでしょう。筆記用具、救急箱、爪切り、メモ帳、書籍、ファイル類といった物が考えられるのではないでしょうか。
そうしますと全て小サイズのものが中心。仮に一番大きそうなものがA4ファイルだとしても奥行き22~23センチ程度で収まります。
これらのものを奥行き80センチの収納にしまおうとすればどうなるでしょう。
収納物は幾重にも重なり一番奥にしまったものは手前のものを一度避けなければ出すことが出来ません。
とっても不便ですね。
間取りを考える上で収納を検討する場合、納めるものにより収納の形状も合わせなければ使い勝手がイマイチな結果になってしまうことも出てきます。
そんな時、収納の奥行きの要件が数と面積の陰に隠れて案外見落とされがち。
無駄無く使い易い収納は奥行きが決め手とも言えるのです。
皆さんの間取り図は大丈夫ですか?
現在身の回りにある家財を図面上で収納場所に納めてみましょう。
改善ポイントが見つかるかもしれませんよ。