仙台も梅雨入りです。アパート住いの方は洗濯物干し場が悩みの種。仙台は気候的にも住みやすい土地柄とはいえ、梅雨時期は困ってしまいます。

マイホーム計画を立てるきっかけになるかもしれませんし家づくりの検討でも間取りに干し場の必要性等この時期ならではの住まいのアイデアが出てきそうです。

ところで賃貸住宅住まいから住宅購入を考える時に、賃貸暮らしと持ち家では果たしてどちらが得なのだろうと考えた事はありませんか?

雑誌などでもこの手の議論をたまに目にします。結論は概ね持家擁護論の「払い捨ての家賃は勿体無い」、又は賃貸擁護論の「住宅ローンに縛られているより安心・家賃相場は将来下がる」といった所に落ち着く様で、定量的・数量的な考察というよりは感情的な視点で語られるものが多い様に感じます。

今回はマイホーム計画を進めるにあたり、この疑問をお持ちの皆さん自ら答えが出せる様に、ファイナンシャルプランの観点から整理の手助けのお話をしたいと思います。

始めから結論ありきの偏った論理展開とならないよう、一方的視点では無くいくつかのテーマに分類して整理をしながら話を進めようと思います。

 

<住宅購入費VS家賃>

持家は住宅購入をする場合を前提とします。そうすると賃貸との比較は何から始めたら良いかといえばやはり住宅購入費と家賃の比較になるでしょう。

更に加えるならば住宅購入費とは住宅ローンの返済額に置き換えられます。

単純に両者を比較すれば一般的には住宅ローン返済額の方が毎月の負担額は高額です。

しかし、負担する期間は一緒ではありません。

現在30歳の方をモデルに両者の総負担額を計算すると。

◇  持家(住宅ローン): 返済額 ×    35年 (65歳完済の場合)

◇  賃貸( 家 賃 ): 家 賃 ×    55年 (85歳迄生存として)

この式で皆さんお住いの地域の家賃相場や住宅購入価格から見た住宅ローン返済額を計算してみて下さい。家賃を計算する場合は駐車場代と共益費はここに含めた方が計算しやすいでしょう。

因みに仙台市近郊でよくありそうな毎月の負担額、家賃7万円と住宅ローン返済額11万程度で計算すると両者はほぼ同額になります。つまり両者損得無しという事です。

但し、この場合の賃貸住宅面積は15坪程度、持ち家の床面積は30坪にはなるでしょう。

生活の快適さを同質にする為、住宅間取りを同等の規模にすれば家屋面積も同程度になります。そうしますと賃貸家賃は当然高額となり、総負担額も増額する事は注意が必要です。

<維持費>

住宅ローン返済額、家賃の他にそれぞれが負担すべき費用も忘れてはいけません。

◇  持家 : 建物メンテナンス費用 / 固定資産税負担

◇  賃貸 : 退去時修繕費用・転居先の敷金礼金

建物は新築から年数を経過していくとメンテナンスが必要となります。これは持ち家も賃貸住宅も同様ですがその費用を負担するのは所有者、つまり持ち家であれば本人、賃貸住宅であれば大家になるので賃貸入居者には負担がありません。市町村に納める固定資産税も同じ考え方です。

建物維持に掛かる具体的費用は一律ではありません。たとえ新築で住宅購入をしても建物の質はハウスメーカー毎は勿論、同じ住宅会社でも商品選択で大きく差が出てきます。屋根・壁の塗り替え等は30年など長期間のメンテナンスフリーを謳い文句にした住宅もあるようです。

家づくりの過程でこの点を重視したハウスメーカー選びを実施すれば費用の低減が期待できます。

また、維持費は基本的に賃貸住まいには直接的に負担は発生しませんが、類似するものとしてひとつ注意しておきたいのは賃貸の退去時修繕費用です。

通常借家は入居者が5年程度で入れ替わる事が多く、そのタイミングで部屋毎のメンテナンスを行います。しかし、この議論での一方の主張「賃貸暮らしが優位」との判断をした場合、その借家に何年住むのかという問題が出てきます。

賃貸住まいはそこに根を張る必要は無く、借家から借家へと移り住む考えも浮かんできますがその退去時には修繕費用、転居先では敷金礼金の費用が発生します。

勿論転居せずに現居を生涯の住処としても宜しいでしょう。しかしこの場合、貸し手の側からしますと入退去のタイミングでメンテナンスを施すという前述のサイクルが取りづらくなる事から、メンテナンス実施にはお互いの協議が必要となりますが、時期や修繕原因を巡っては相互の利害が相反しますので紛争等の発生には注意が必要です。

持ち家で負担する固定資産税については建物の評価額は法定耐用年数に向かって減価されるので負担額は徐々に減額します。

また、住宅購入に係り継続的に効果を得られる物も有ります。「住宅ローン控除」です。

建物取得時期により新築時から10年若しくは13年間一定額の所得税還付が受けられるのは持ち家の場合に限られます。

<リスクマネージメント>

将来的なリスクに対する対応という面から両者を論じる場合、以下の見立てがよく登場します。

◇ 賃貸支持:少子化とデフレの社会環境下で将来的に家賃は下落。就業環境悪化にも対応安心

◇ 持家支持:将来インフレ化した場合、家賃は上昇するが住宅ローン返済額は影響無し

双方の根拠とするものの内、経済・社会環境変化の推測に基づく論は、あくまで仮説で有り「もし、そうなったとすれば」との前提条件付きの優劣論です。

これが日頃この議論を感情的なもので終わらせてしまう要因になっている様に思えます。

この様な推論の上に成り立つ考察の前に、現状観察可能な領域での分析は欠かす事は出来ません。今回はあくまでも顕在化しているテーマを定量的に比較整理を試みようと考えておりますので、インフレ、デフレ、少子化の影響からの推測を交える事は避けようと思います。

但し、就業環境悪化時の対応力という点はキチンと焦点を当てておく必要があります。加えてライフプランの視点で取り上げられるべきいくつかのテーマが日頃の議論で欠けている様にも見えますので補っていきたいと思います。

 

①就業環境悪化時の対応力

この論は給与の低下、リストラ等就業環境が悪化した場合も持ち家の住宅ローンは所定の額を払い続けなければならないが、賃貸住宅は収入に見合った家賃のアパートなりに住み替えれば良いので、リスクが低いという考え方です。

一見もっともそうに聞こえるのですが、実は2つの点で正確性を欠いております。

まず、住宅購入は「住宅ローンに縛られ・・」というような返済への強い拘束を印象付ける切り口でよく語られますが、家賃も支払い義務に強弱は無く家賃も住宅ローンの返済も支払いの義務という点では同様で、拘束力に全く差異は有りません。

次に一家の経済環境が悪化した場合の賃貸住み替えですが、これには現居の修繕費清算と新居の敷金礼金、仲介手数料、引越し費用等が付随して発生する事から、経済環境が悪化した状態で無闇に切れるカードでは無く現実的には高いハードルとなります。加えて就業までも失った状態となると入居審査上も転居はかなりの困難を伴います。

両者のリスク評価は冷静に観察する必要があるのではないでしょうか。

 

②老後の家賃負担

冒頭、家賃と住宅購入費用の対比をいたしましたが、両者の総負担額が仮に同程度であったとしても、その負担時期が問題となります。持ち家の場合、就業期間が住宅ローン返済時期ですが、賃貸の家賃負担時期は一生涯で有りますから老後期にも当然負担し続ける事となります。

ライフプランの観点から、公的年金のみでの老後生活が危ぶまれる現状の環境下では、予め老後期の家賃充当分を蓄える等、相当な事前準備が必須だと考えねばならないでしょう。

 

③資産

老後期の持ち家、賃貸の存在を比較する場合、資産としての価値評価も忘れてはいけません。

まず持ち家は所有物ですので資産的価値を有しております。

不動産の価値は一定では有りませんので、遠い将来の評価額を予め具体的に目論んでおくのは現実的とは言えません。

しかし、その時節の不動産評価に応じた資産的価値は残している訳で、この不動産を売却し流動性資産に変換する事で、その資産はライフプラン上の選択肢に寄与出来ます。

この機能は家賃支出には有りませんので賃貸の場合、将来に価値を残す事は出来ません。いわゆる掛け捨て的性質のものです。

 

④生命保険料負担

多くのご家庭で備えている万が一のリスクの保障としての生命保険。ご主人に(ご夫婦共稼ぎの場合は相互に)万が一の事態が起こってしまった場合、残されたご家族の生活費が遺族年金と生命保険で営める額が保険金額の目安となり、一般的な30代世代の方だと3000万から5000万付近の保険金額になりましょうか。

ライフプラン上の大切な備えです。

但しこの保険金額は住宅ローンの返済を除いた生活費に対する必要保障金額です。だって4000万の住宅ローン組んだとしたらその分だけで保険金が無くなってしまいますから。

そこで住宅購入時、住宅ローンを借り入れる場合は通常「団体信用生命保険」がセットになっており、万一時にはそれで住宅ローンが完済される仕組みとなっております。

それでは賃貸住まいの方を見てみましょう。 考え方は持ち家の場合と同じで住宅ローンへの保障が必要な様に生活費の保障とは別に家賃への保障が必要となります。

家賃には団体信用生命保険の様な備えは通常付帯されておりませんのでその分を加算して生命保険を備える事となります。

それでは家賃分の保障額はどのくらい必要かを計算しますと、一生分の家賃ということになりますので30歳から85歳までの家賃7万円の必要補償額は7万×55年で4620万円にもなります。この保障額を生活保障とは別途備える必要がありその保険料を負担しなければなりません。

仮に団体信用生命保険無しでの住宅ローン借入となれば相当の不安が伴う様に、リスク対策の趣旨から見た場合本来同質のものでありますので本来はこれを備えるべきなのです。

 

ここまで持ち家と賃貸住宅それぞれの暮らしをファイナンシャルプランの視点で比較してきました。これにより評価が変わった方、より確信した方それぞれでしょうが、住宅購入前のご判断の一助になれば幸いです。

パートナーズライフプランニングの「マイホーム購入サポート」コンサルティングではマイホーム計画を何から始めたら良いかお悩みの皆様にもわかりやすく疑問にお応えいたします。

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