仙台の住宅コンサルタント、パートナーズライフプランニングです。
住宅購入の際、土地探しを含めたマイホーム計画の方には、土地価格は住宅ローンも含め気になるはず。
仙台でも不動産会社やハウスメーカー営業マンに土地探しを相談すると、「震災以降地価が上がり続けている」という解説を耳にしている方は多いのではないでしょうか。
そんな話を聞けば「急がなくちゃ!」と焦りも感じますが、周囲の知人にも同様の相談すると「そんなの営業マンが急かせてるだけでしょ。もうとっくに土地は売れ残ってるらいしよ!」と真逆の話が聞こえてきたりすれば、「一体どっちが本当?」と迷ってしまいます。
地価が上昇していると言っても微増程度であれば何も慌てる必要は無いでしょうし、大幅な変動が続いているのであれば実施時期によっては影響を被るかもしれません。反対に既に地価下落の傾向が有るのであれば急ぐどころか逆の話です。
でも、売り土地物件を相談先の営業マンから情報提供された際、
「ずいぶんと想像してたより高い価格だな・・・」と思っても、
「最近は需要に対して売り情報が少なく、ここ2年で3割位高値になっているんです」
などという説明を受け、真偽が分からなければもっともそうにも聞こえてしまいます。
焦るつもりは無くても自然と焦りや不安が募るものではないでしょうか。
いずれにしても市場環境を誤って解釈し失敗につながる様な判断は避けたいものです。
では地価変動の具合はどうすればわかるのでしょうか?
⬜︎ 地価変動の具合はどうすればわかる?
先の例えの通り不動産会社やハウスメーカー営業マンへの相談を通じた情報となると、どうしてもセールストーク的なバイアスが掛かる事は容易に想像されますね。
必ずしも実態を反映した話かどうかは疑念の残る情報では心許無い話です。
また、皆さん自身でWebサイトの売り土地情報を検索し調べを試みるという方法も考えられますが、相場の行方を知るには長期間にわたる流れの中で、流通物件を定点観測しなければ相場の推移は分かりません。
でもマイホーム計画を思い立ってからそんな気長に時間を掛ける余裕は無いはずです。
加えて、「地価相場」そのものも中々扱いづらい一面があります。
そもそもの相場の評価の仕方が難しいのです。
例えば市場に流通している売り土地物件の「相場」という場合に、市場全体の価格を一括りにされても全くピンとこないでしょう。
類似した環境同士の土地をひとつの括りとして細分化し、それらの価格的目安が示されなければ相場は意味をなしません。
通常市街地中心部と郊外の土地が同じ価格とならないのは皆さんご承知の通りです。
この類似した環境という括りに便利なのがエリアによる分類です。
〇〇駅周辺や△△町内の相場は坪辺り何万円位、と言い表される地価相場はよく耳にする単位であり、マイホーム計画を開始し土地探しを進める過程で、幾度となく耳にしながら住宅資金計画や住宅ローン借入計画の手掛かりとする事でしょう。
しかしながら、確かに便利な相場のモノサシではあるのですが、注意しなければならない点もあります。
それは物件自体の偏差です。
同一エリアの不動産市場に流通している物件といえどもすべて均一の条件ではありません。
面積・道路条件・地形すべて様々な条件ですし、売値というのは先ず売主の主観を元に付けられた値な訳で、該当地への自己評価が高かったり、思惑的な事情があれば客観的に見て高値で市場に登場する事もあり得ます。
三角形の土地が安く売られていたとか、かなり強気の値付けがなされた高値の土地が市場に登場したからといって、これをもって判断材料として扱い相場が上がった下がったという話をしたところで実態を反映した評価とはなり得ないでしょう。
地価相場を語る場合にはあくまで一般的取引条件によって値付けられる「正常価格」を対象にすべきで、前述の様な特定の条件下での価格を交える事は混乱を招きます。
但し、土地相場をめぐる話の中では寧ろ特定条件下での土地情報が取り上げられるのがややこしいところです。
「最新の売地情報で坪〇〇万円の物件がでました。いや~値が上がってますね!」
という営業マンの解説や
「ネットで見たけどその周辺は坪△△万もしないよ!ずっと安いのでてるよ」
という知人の話。
得てして流通情報ではこちらの方が人の目に止まり易いから困ったものです。
正常価格扱い出来る物件か否かを見極めた上で相場の水準や推移の判断材料に用いなければ、結果は不正確なものになってしまいます。
⬜︎ 公的地価指標の活用
それでは今回の本題で有る市場環境の方向性をもっと高い精度で、手軽に知るにはどうすれば良いのでしょうか?
そこで取り上げたいのが公的な地価指標です。
土地の価格は一物五価とも言い表され、一つの土地に複数の価格が存在します。
ここまでの話の題材としてきたのはこの中の「実勢価格」です。
実勢価格は実際の土地取引価格ですので、土地探しの際に取り上げれれるのはこの価格です。
しかしながら私的な値付けに基づくこれの客観的観察や推移の観測は中々難しい事でもあるのはここまでお話の通りです。
そこで、公的な地価評価を手掛かりとする方法が考えられます。これが残りの四価です。
四価は公示価格、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価なのですがこれらは全て公的に土地評価がなされ公に示されているもので客観性という点では申し分ありません。
この四価の内、公示価格と基準地価(この2つをまとめて一物四価という言い方もなされます)は調査の主体がそれぞれ国と県の違いがありますが、双方評価の手順は同じく毎年同日に同一指定地を鑑定評価し「一般の土地取引価格に対し指標を与える」といった公表目的からも、基本的に実勢価格に準ずる価格という見方が出来ます。(ピタリ一致とはいきませんが)
このあたりの一物五価の解説はこちらのコラム記事で取り上げています。
→「仙台の基準地価今年も上昇基調」 ところで基準地価って何?
毎年毎年同一地を定点観測し公表されるこの価格やその推移を調べれば、その方向性や程度を知る貴重な手掛かりとなるはずです。
但し、相続税路線価、固定資産税路線価は都市部の土地が概ね網羅されているのに対し、公示価格、基準地価は調査地点が例えば〇〇市△△ヶ丘の範囲に1箇所程度と点在しているにすぎません。
したがって土地探しにあたり、目星を付けた探索エリアの最寄りの調査ポイントを探し、観察することからその傾向を推定するという流れになるでしょう。
まずはお試しになって下さい。
案外イメージしていたよりも価格変動幅が大きかったり、営業マンから聞いていた程の話じゃ無いという印象を持ったりと落差があるかもしれません。
何れにしても冷静な判断で土地探しに臨み、マイホーム計画を成功へと導く為に万全を期したいものです。
次回は私のホームグラウンドである仙台の公示価格推移を題材に、この話題をどの様に観察するのか具体的に例示してみたいと思います。
次回記事は→土地探し前に知りたい地価変動② 仙台の場合
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