今回はファイナンシャルプランナーとして皆さんのご相談にお答えします。
今年も低金利にドップリと浸かってのスタートです。
住宅購入を控えた方には住宅ローンの低金利は歓迎すべきでも、貯蓄をするにあたって昨今の金利水準の流れには失望させられます。
将来の為と資金運用を真剣に考え、少しでも効率良く準備するには厳しい環境です。
そんな時、NISAやイデコといった制度を利用し株式投資を勧める話を耳にした事は有りませんか?
昨今も日経平均株価が平成初期のバブル崩壊以来、最高値を記録したというニュースも聞かれます。
こんなニュースを耳にすれば
「ただ何の工夫も無く貯金するよりは少しでも効率よく資産形成をするべきだろうか?」
と株式運用を意識する方もいらっしゃる事でしょう。
そうした時に「投資信託」という金融商品をご存知ですか?
恐らくこの名前耳をにした事がある方は多いのでは無いでしょうか。
昨今、銀行の窓口で資産活用相談の際もよく勧められるケースが多い様です。
でも
・「投資信託」って一体何?
・どんな金融商品か?
・どんな仕組みか?
・リスクやリターンは?
なんとなく解る様な解らない様なという方が多いのでは無いでしょうか。
そこで今回はファイナンシャルプランのお話「投資信託って何?」にお答えいたします。
⬜︎ 投資のリスクとリターン
まず初めに「株式投資」というと皆さんどの様な印象を持ちますか?
「お金が増えそう」というイメージと共に「リスク」という言葉が思い浮かぶのでは無いでしょうか。
事実、株式投資はリターンも期待できる反面、リスクも伴います。
このリターンとリスクを端的に説明いたしましょう。
株式投資のリターンは「配当益」と「譲渡益」に分けられます。
それぞれをインカムゲイン、キャピタルゲインという言い方もなされます。
「配当益」とは、投資した先の会社が上げた純利益(最終的な儲け)から、株主へ分配される儲けの「分け前」を指します。
原則的に考えれば、投資先の会社で利益が上がらなければ、配当は得られないと言う事になります。
(例外的に赤字でも過去の利益の蓄積である内部留保から配当を支払うケースは有りますが)
配当と同じ位置付けにあるものが「金利」です。
これは「債権」投資(お金を貸す)で得られるインカムゲインですが、貸し先の会社が倒産するなどして債務不履行を起こさない限り金利は受け取れます。
つまり「配当」と「金利」両者を比較した場合リスクは配当の方が大きい事になり、そのリスクを取る見返りとしてリターンの期待額は金利より配当の方が大きくなるのが一般的です。
次に「譲渡益」ですが、債権の場合は返済期限が予め決まってますので、相手方が債務不履行を起こさない限り先の金利と共に元本が償還されます。
しかし、株式投資には満期が有りません。投資を続ける限り先の配当を受ける権利を得られますが、投資を手仕舞いする際には所有する株式を売却して「元本」を回収する必要があります。
この時、「投資開始時の株価」と「売却時の株価」に差額が有れば損益が発生しますね。
これがキャピタルゲイン「譲渡益(損)」という事になります。
一般的に多くの方が持つ株価が「上がった」「下がった」で「損した」「儲かった」のイメージはこのキャピタルゲインの事を指しているのです。
⬜︎ 投資信託って何?
この様に例えば株式投資を検討した時に、利益への期待と同時にリスクがどうしても気掛かりだという方は多いはずです。
投資した会社がその先必ず利益を上げる保証は無く、ましてや倒産なんて事になれば目も当てられません。
損をするような失敗は誰でも心配ですから。
この様なリスクを伴う投資をする場合にリスクをコントロールしようという試みが考えられます。
その代表的な手法が「分散」という考え方です。
分散とはどの様な考え方か?
「一つのカゴに全部の卵を集めるな」という例えに表されます。
どういう意味かと言いますと、例えば6個の卵があったとして、その卵を1つのカゴに入れて運ぶ最中にそのカゴを落としてしまえば卵は全て割れる可能性が高いですね。しかし6つのカゴに分けて運べば全てのカゴを同時に落とす悲劇の可能性は低下し、結果として卵全滅のリスクを低減させる事が出来ます。
この様に投資対象を「分散」させる事でリスクコントロールを試みようという手法です。
具体的には投資をする対象を1社に絞った時、成功時の利益の反面、失敗時は大きく元本を毀損させる恐れがあります。
そこで投資の対象を1社では無く複数社に分散し、その中で成功局面、失敗局面が発生しながらもトータルで利益を上げる方が確率的に分があるという考えに基づきます。
しかし、問題もあります。
この様な投資方法に興味はあれども、個人の限られた資産では分散度合いには限度がありますし、投資の経験知識が充分とは言えず何処に投資すべきか判断出来ない方も当然いる事でしょう。
そこで同様な投資家の出資金を集めた「ファンド」というお金の集団をつくります。
ファンドへの出資は小口でも可能なので分散投資が容易になります。
このファンドのお金は専門家で有るファンドマネージャーに運用を委託しますので、経験知識の浅い方でもそのノウハウを用いる事が出来るという訳です。
つまり投資信託のメリットは
・分散投資
・小口投資
・専門家による運用
の3点が大きな特徴といえる金融商品なのです。
⬜︎ 投資信託の分類
この様に分散投資で本来抱えるリスクをコントロールしていこうという試みは理解出来たと思いますが投資信託自体の課題もあります。
ファンドを立ち上げ出資者を募る場合、投資信託の仕組みには賛同しつつも各個人の投資に対するスタンスは一様では有りません。
リターンの期待値やリスク許容値の程度は個人差が当然あります。
個々の事情に即した形態のファンドを選択するには、外形的違いを読み取れる様にしておかねばなりません。
そこで大枠として投資対象の種別ごとに以下の3種に分類されます。
① 公社債投資信託
先程、債権投資は株式投資と比較しリスクは低いと説明しましたが、不安定な貸し先を選べば一概にそう言い切れるものでは有りません。
但し、その様な対象の債権はリスクは増しますが高利回りの投資対象として取り上げられる場合があります。
この様に債権投資にも投資信託は活用され、「公社債投資信託」と分類されます。
② 株式投資信託
ここまで株式投資をモデルに投資信託を説明して参りましたが、実際の投資信託は上で説明した債権への投資と株式への投資を混在したファンドも存在します。
しかし、一般的には株式投資の方が債権投資よりもリスクが高いものと評され、多数の投資先に分散している場合はその分類が見分け難くなるケースも考えられます。
そこでファンドを選ぶ際の投資家リスク嗜好に合わせた判断に混乱が起きない様、債権・株式混在であろうともわずかでも株式が含まれている場合は「株式投資信託」として表示する事となっております。
つまり公社債投資信託は100%債権投資で構成されているという点で異なります。
③ 不動産投資信託
投資の対象が不動産で有る場合は「不動産投資信託」という名称で分類されREIT(リート)とも呼ばれます。
通常不動産投資は多額の資金を必要としますが、ファンドを経由した投資により、少額でも不動産投資が可能です。
⬜︎ 投資信託の選択
この様に運用先により大別され投資者の意向に合わせた選択が出来る様になっているのです。
また、その他注意点としては投資信託商品購入に付随して販売手数料、信託報酬といった費用負担が有る場合が有りますので予め忘れずに調べておく必要があります。
具体的な運用内容や費用については原則として販売会社から投資家へ説明書とも言える「目論見書」の交付が義務付けられておりますので、詳細はこちらで確認できます。
いずれにしましても投資信託商品は分散投資でリスクコントロールを試みてはおりますが、必ずリスクが低いという事では全く有りませんので、証券会社や銀行の相談窓口で説明を受ける際は、誤解のない様に注意して説明を受けるべきでしょう。
今回は投資信託についてお話しいたしました。
私の家計設計相談の際も、ライフプラン上の将来的資金準備の選択肢として投資信託商品はどうだろう?といったご質問を承る事があります。
その多くが昨今の高値の株価報道を受けてのご相談なのですが、投資信託商品は直接的株式投資と比較すればリスクコントロールの仕組みを内包しているとはいうものの、ノーリスクという事ではありません。
他にもご家庭内の他の金融商品である住宅ローンが変動金利であれば、仕組み上はこちらにもリスクは存在しているという見方をせねばなりません。
家計全体トータルでのリスク許容度がどの程度なのかを見比べながら慎重に選択すべきでしょう。
パートナーズライフプランニングではこの様なファイナンシャルプランに関するご相談も1級ファイナンシャルプランニング技能士の私が皆さんの疑問を解決いたします。
お気軽にご相談ください。
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