住宅ローンのご相談で時折受けるご質問に元金均等返済があります。私も仙台で住宅に携わる仕事を始めて30年になりますが、いつの時代も忘れた頃に受ける定番相談の一つかもしれません。マイホーム計画に住宅資金、更には住宅ローンの検討が重要な位置付けなのは今更ながらですが、住宅ローンは他のクレジットと異なり返済期間が長期となる為、先々の不安やライフプランニングとの関係がどうしても気になるところです。

そうなると返済期間もハウスメーカー営業マンから勧められた35年返済で良いのか?変動金利と固定金利のどちらを選んだら良いのか?という事も気になって参ります。これらの考え方は過去にもコラムの中で解説してきましたが、もう一つ返済期間が長期になる影響で気がつくもの。それが元利均等返済元金均等返済の違いではないでしょうか。

余り頻繁に登場するご相談テーマでは有りませんが、これの存在に気付いた方には疑問に映る様です。

先程、「いつの時代も」と申しましたが実はコレ、ちょっと深い話なのです。

最近住宅ローンのご相談でたまたま続けてこの話題に接しましたのでこの機会に取り上げてみたいと思います。

 

⬜︎   元利均等返済とは?    

住宅ローンを利用する際、一般的なのはこの元利均等返済です。理由は元金均等をご覧いただいてからにしましょう。

通常ハウスメーカーの営業マン始め各所で住宅ローン相談をした場合のやりとりは、特に断りがない場合この元利均等返済を前提に話が進みます。

元利均等返済の特徴を端的に表しますと「毎月の返済額が同じ」という事です。返済額返済回数と金利によって決まる毎月の返済額は変わることは無く、これは皆さんこれはご承知の通りでしょう。

しかし毎月の返済額の内訳は金利分と元本分から成り立ちますが両者の比率は毎月均等では無い事はご存知でしたか?

元利均等返済

右の図は元利均等返済の説明に用いられる定番のモデル図です。目にした記憶の有る方も多いのでは無いでしょうか

ここで表される様に金利が住宅ローン返済開始当初に多く配分されているのです。

つまり、住宅ローンの総返済額は 借入元本 + 金利負担額 となりますが、その金利負担額の多くは返済期間初期に多く配分され、後半は金利支払額の残額は少額になってきます。

これを知っておくと便利なのが繰り上げ返済をなさる場合、そのタイミングです。

住宅ローンの繰り上げ返済の効果をおさらいしておきましょう。

① 毎月返済額を軽くする or 返済期間を短くする

② 残存期間の金利負担額節減効果

①は繰り上げた分がその後返済額もしくは期間で負担が軽くなる訳ですがこれは当然のことです。加えて②の様に繰り上げた額に対するその後の金利分も負担が無くなります。

但し、返済残存期間をわずかしか残さない状態で繰り上げ返済をしても、既に金利負担分の多くを払い終えているので②の効果は余り期待できないという事になります

覚えておきましょう。

 

⬜︎   元金均等返済とは?    

住宅ローンを相談する際ハウスメーカー営業マンでも銀行相談窓口ですら元金均等返済の会話が登場する事は稀。その理由はこれの仕組みをお知り頂ければすぐにわかります。

元金均等返済

元金均等返済の特徴は「毎月の返済額が徐々に減る」事、初回の返済額をピークにして時間の経過に従い減額します。

先程と同様に右図の元金均等説明の定番モデル図をご覧下さい。

元利均等返済とのもう一つの違いは返済額中の元金の額が均等である事です。

元金が確実に減っていき毎月の返済も徐々に楽になるのなら元金均等返済はとても魅力的に見えるのではないでしょうか。将来のライフプランに安心材料になるようにも感じます。

それではなぜ脇役扱いなのでしょう?

その理由は当初の返済額にあります。下の表をご覧ください。

住宅ローンを35年返済・金利1%で借入れた場合の元利均等/元金均等の比較ですが、まず借入額3000万の場合の双方の初回返済額は8万4685円/9万6428円と13%程度当初返済額が元金均等返済の方が重くなっております

また別の見方で、両者の毎月初回返済額を10万円に設定し双方の借入可能額を比較してみると、3542万円/3111万とこれも87%程度の額しか借りられないという事にもなります。

マイホーム計画を進めるにあたって住宅資金をどの様にして捻出するかは皆さん腐心なさるテーマです。こんな場所に土地探しをしたい、おしゃれな家づくりもしてみたい、使い易い間取りも考えたい、安心できるハウスメーカー選びをしたいと考える時にご予算とのバランスは常に意識しますし、ハウスメーカーから提示された資金計画書や見積書が予算と400万以上も違っていたらビックリしてしまいます。

後から楽になると言うのは魅力的にも受け止められますが、マイホーム計画スタート時点の状況が現実と噛み合わないのが、元金均等返済が余り表舞台に登場しない要因といえるでしょう。

因みに元利均等返済と元金均等返済の返済月額が同額になるのは16年程経過した後で、最終回の返済額は7万1488円になります。

 

⬜︎   どちらを選べばいい?    

ここまでは住宅ローンを各所に相談する際、一般的に耳にする元利均等返済と元金均等返済両者の特徴を見てきました。

次はもう少し掘り下げてみましょう。

それでは両者はどちらを選ぶのがお得なのでしょうか?住宅ローンで損得といえば同じ借入額、返済期間、金利の条件でどちらの総返済額が多いか少ないかという事が比較対象です。

両者の説明項に掲載したモデル図の印象からは元利均等返済の返済初期の金利負担がとても多い様にも見えます。実際には月々返済額に占める元本と金利の額はどの位なのでしょうか?

先程と同じ設定で比較してみましょう。下の図をご覧ください。

如何ですか?先のモデル図から受けるイメージ程両者それほど大きな差に感じないのではないでしょうか。

私も住宅ローンご相談の中でこの話題を解説する時に、この内訳の話をしますと皆さんちょっと拍子抜けのご様子になります。そして両者の返済総額は

元利均等返済3556万7998円 / 元金均等返済3526万2499円

と1%にも満たない差額にしかなりません。

以前はこの両者の間にはもっと大きな差が生じてました。

例えば金利5%だった時期の返済総額は元利均等返済6359万/元金均等返済5631万と13%も差があり、元利均等返済の初月返済の金利/元金は12.6万円/2.6万円と返済額の大半が金利分、元金均等返済の場合金利分は同じで元金は7.1万円だったのです。因みに住宅ローンの説明文でよく登場する先のモデル図はかつての高い金利水準時代の状態に従い表されているものだという事がわかりますね。

こうなってくると今以上に元金均等返済選択の効果は大きく魅力的に映るのですが、初月返済差額は元利均等返済と比較し30%程度高くなってしまい現在よりも遥かに高いハードルでした。

こうした経緯が住宅ローンの世界で常に元金均等返済の存在を知った人の関心を集めながらも扱われ難い存在として日の目を浴びない理由ともいえるでしょう。

さて現在の話に戻りますと、後々負担が軽減される家計的メリットよりも初期の返済負担や予算へのマイナス影響の方が大きいという判断に至るご家庭の方が多数なのではないでしょうか。

住宅購入自体はライフプランニングの重要な要素のひとつでは有りますが、住宅ローン返済以外にもお子様の学資金準備、老後資金等の貯蓄、生活上のリスクへの備え等、各課題への準備も同時に怠り無く実施しなければなりません。

それらライフプランニングの課題を解決した上で尚余力があり、住宅資金の目論見が希望している物件金額と折り合いがつくのであれば元金均等返済も住宅ローン検討の際選択肢に入って参ります。

その上でバランスが取れるのであれば検討してみる価値はあるかもしれません。

また、成果主義の採用等で先々の給与体系が年功序列であったこれまでの日本社会の構図とは異なる企業も出てきた昨今、こうした所得環境の変化への対処法としての役割も果たせるかもしれません。

 

今回はマイホーム計画において重要なテーマである住宅資金計画の中心となる住宅ローンの検討において、目にはするが余り議論されない元利均等返済と元金均等返済の違いについてお話しいたしました。

皆さんの疑問が解ければ幸いです。

パートナーズライフプランニングの「マイホーム購入サポート」コンサルティングでは住宅ローンに関わる固定金利・変動金利の選択や返済期間の考え方についてもひとつひとつ丁寧にご相談へ対応して参ります。

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