住宅購入時に外せない住宅ローン選びの法則とは?  変動金利と固定金利どっち

住宅購入計画に欠かす事が出来ない住宅資金計画。

多くの場合その要所を占めているのが住宅ローンの存在です。

しかしながら、住宅購入計画を進めている方々が住宅ローンの検討をを的確に実施出来ているのだろうか?というのが前回の問題提起でした。

新築一戸建てを注文住宅でおしゃれな家づくりを目指したい等といった夢は的確な住宅資金計画の上に成り立ちます。

ここが不安定ではマイホーム計画全体に影響いたします。

具体的には本来なら充分に検討が加えられるべき「返済期間」や「金利タイプ」の選考よりも、本来その結果を受けて取り組むべき「銀行選び」のみで住宅ローンの検討作業が終えられてしまっている多くの現状への警鐘です。

何でもかんでも35年返済と変動金利がセットの住宅ローンを前提とした住宅資金設計を相談窓口としているハウスメーカーや工務店・不動産会社から当たり前のように勧められていた場合、これが本当に妥当なものかをライフプランの観点からオススメ根拠を検証し評価してみようという事です。

前回はまず住宅ローンの返済期間について考えてみました。

結果は住宅購入時のご年齢が何歳であろうと一様に35年返済を組む事に、ライフプランの観点から合理性は見出せないという事が結論です。

家づくりの過程で相談窓口の業者からよく勧められる住宅ローンの組み方の一角に疑問が生じました。

今回は住宅ローンを検討する上でのもう一つの重要な要素である金利タイプを検証してみましょう。

まず基礎的なところからおさらいしますと、住宅ローンの金利タイプには大きく変動金利と固定金利、更には変動金利の中に固定期間付きの変動金利があります。

少々ややこしいですね。下にまとめておきます。

ア. 変動金利:返済期間中の金利相場で返済金利が決まる

a.変動金利型・・・返済期間中、常に金利相場に沿って返済金利が上下する。

b.固定期間選択型・・・選択した期間中は固定金利に同じ、期間後は変動金利に同じ

イ.  固定金利:返済期間中、ずっと融資開始時の金利が適用され上下しない。

また変動、固定両者の金利水準は概ね1%前後で変動金利の方が低金利となっています。

比較のポイントとしては

◇ 住宅ローン返済開始時の返済額が低いのは・・・ア.が有利

◇ 同じ当初返済額に対し借入額が多いのは・・・ア.が有利

◇ 将来の返済額変化が心配・・・イ.が有利

となります。

その上で相談窓口となるハウスメーカーや工務店・不動産会社から勧められるタイプは変動金利のケースが圧倒的に多いようです。

理由は何でしょうか?

まず売り手の視点で考えた場合に間違いなく変動金利を進めたくなる動機があります。

変動金利と固定金利を比較した場合変動金利の方が低金利です。これは同じ価格の物件を販売する場合、住宅ローン返済額を低く表示できる事、また、同じ返済額の場合は高額の借り入れが可能になり予算額のバーが上がる事、以上の点から売り手には利があります。

では変動金利の買い手側のメリットは何でしょうか?

当然売り手の論理のみで、ユーザーメリットが表明できなければ正当性を欠きます。

相談窓口とする業者のお勧めの理由としては以下のような説明をよく耳にするはずです。

共通項は変動金利の方が固定金利より当初返済額低く抑えられる事。それに加えて

① 住宅ローンは返済開始時の金利が低い方が利子の支払い総額を抑えられる

② 低い金利で返済額を抑え余剰分を貯蓄し繰り上げ返済すれば、金利上昇時の対策になる

③ 他にも金利上昇したら変動金利から固定金利に乗り換えれば対策が打てる

④ そもそも長く続いたゼロ金利から急な金利上昇は考えにくい

といったフレーズが代表格です。

但し、いうまでもなく住宅ローンは金融商品の一種です。

ファイナンシャルプランの観点からも金融商品評価の基本はリスクとリターンを正しく評価するところから始まります。

この点で変動金利のお勧め理由が妥当なのか①~④を一つづつ見てみましょう。

  これは変動金利のリターン説明ですね。

固定金利よりも変動金利の方が当初返済額が抑えられ、低利な方が返済額あたりの元本比率が高く残債は早く減っていく事は事実です。

しかし、金利が上昇すれば月々の返済額や返済総額は逆転する可能性があり返済開始時のみではリターンの評価として正しくありません。現在価格と将来価格の分岐点がどの水準なのかの考察は別途加えないと不充分ですね。

 

  変動金利のリスク対策を示したものになります。

但し返済可能額に対し低金利分の返済低減額がキチンと反映されている事が前提です。

(ex.月10万返済出来る人が変動の場合月8.5万と低利分で1.5万返済を抑えこれを貯金)

月々10万迄なら返せますという方が変動金利にした上に月々10万返済の住宅ローンをギッチリ組んでしまっては全く対策になりません。

実際に多いんですよね、この説明パターン。

 

  これもリスク対策ですね。

この説明もよく耳にしますが、金利変動自体が株式や外国為替と全く同様に刻一刻と相場が変異する債券市場での金利変動によって起こり、住宅ローンの金利はこれに基づきます。

この債券市場は株や為替のそれに対しプロのマーケットと呼ばれる事があります。

小刻みな上下を繰り返しながら「結果として」長いサイクルで上昇下降の動きをする金利動向を観察し、的確に金利上昇の予兆を察知し変動金利から固定金利に切り替えるなどというのは超高難度な技。プロですらどうでしょう・・・。まして切り替えた時点で組み替えの諸費用と変動固定の金利差額が発生しますので対策と呼べるのかどうか。

 

  この説明はリスク評価にあたります。

これもまたよく耳にするフレーズです。ここまで長く続いたゼロ金利がそう簡単に上昇に向かうはずがないだろう → だから大丈夫だ、という論法です。

額面通り受け取りますと金利上昇は起こらない、だからリスクは存在しないという事になるのでしょう。

もし、そのように判断するのであれば

◇ 現在のゼロ金利水準になった要因分析

◇ 金利上昇は上記要因が変化する事であり、それが起こらないとする根拠

これらのロジックに対し説明が不可欠ですが、どうでしょう。

以上の様に変動金利のユーザーメリットには情緒的・感情的な根拠から推定した解説が多く目撃されます。これを情報源として的確な判断へ結びつけるのは中々難しいでしょう。

正確さに欠けるという事です。

正確な判断に住宅ローン変動金利と固定金利のリスクとリターンの評価は欠かせません。私のコンサルではこれらの課題整理をしっかりと解り易く解説いたしますのでご安心下さい。

前回今回と住宅ローンの返済期間と金利タイプ選択(変動金利・固定金利)の重要性、評価ポイントをお話して参りました。

もし、皆さんが家づくりの中で住宅資金計画を立てる際毎月の返済額を10万円とした場合、35年返済、変動金利で組むのと30年返済、固定金利で組むのでは融資可能額に900万円程の差が出ます。

仮にハウスメーカー選びの際に相談していた住宅会社から予定と900万円も食い違う新築注文住宅の見積書が出てきたらいかがですか? おそらくびっくり仰天ですね。

住宅資金計画が根底から狂ってしまいます。

住宅ローンにおいてもそれは同じ事。この差額はライフプランのどこかの場面で影響が出てまいります。

住宅購入計画においてハウスメーカー選びの見積もり金額も重要であるのと同時に住宅ローン選びもしっかりと判断しておきたい検討要素だという事です。

パートナーズライフプランニングの「マイホーム購入サポート」コンサルティングでは皆様からの住宅ローン相談は勿論、住宅資金計画、住宅外のライフプラン設計も含めて資金面の不安解消から始まり、土地探し、間取りづくり,ハウスメーカー選びとマイホーム計画全体の企画立案をワンストップでサポートできる相談窓口です。

仙台市以遠への出張相談もいたします。

皆様の住宅購入プロジェクトを成功に導くお手伝いをいたします。